6秒経っても怒りは消えないけど書き殴ればなんとかなる

夏木紬衣
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「頭にきたことを紙に書いて捨てるだけで怒りがきれいに消える」という研究結果が発表されたと知って驚いた。すでに何年も活用しているストレスケアのひとつだからだ。

わたしは喜怒哀楽のなかで特に怒りが占める割合が大きい。すれ違いざまに暴言を吐かれるといった突発的なことから、隣の人の貧乏ゆすりが視界の隅に入るという継続的なことまで、なにかストレスが降りかかると怒りがわいてくる。外にでるだけなにかしらのストレスを感じる可能性が高まるので、回復と防御のために家にこもる。ひとりになる時間はどうしても必要だ。

家にいればストレスフリーなのかというと、そうとは限らない。母からチクチク嫌味を言われたり、兄妹と比べられてダメな人間扱いされたり、なにかしら心の負担になることが起こり得る。ときには泣いてしまうほど怒りで爆発したこともある。

怒りにとらわれがちだが、物にあたったり大声を出したり暴れたりしたことはない。誰かが見てわかるような怒りの発散はせず(できないというのが正しいかもしれない)、内にためこみがち。しかし抱えこむのは精神衛生上よくないとわかっている。

怒りと悲しみがごちゃまぜになって今にも壊れてしまいそうなとき、気づけばノートの1ページを引きちぎり赤ペンで思うままに書きなぐっていた。紙きれには人には言えないような罵詈雑言を吐きちらかす。そのあとびりびりに引き裂いて捨てた。不思議なことに、たったこれだけで「もういいか」と心が静まる。多感な学生時代にこの成功体験があったおかげで、今は嫌な出来事・ストレスに感じたことを日記へこまめに吐くことでケアしている。

怒りを抑制する方法としてよく耳にするのがアンガーマネジメントだ。怒りを感じたとき、心のなかでゆっくりと1~6の数をカウントする「6秒ルール」が知られている。初めて6秒ルールという心理的スキルを知ったとき「アンガーマネジメント?くそくらえ」と思った。たった6秒で怒りが静まるはずがない。6秒経てばガソリンが投下されてさらに燃えあがる。なんなら数年前の怒りだって再燃させられる。

怒りを紙に書きだして捨てる方法は、怒っている最中でも実践できる・誰もが簡単にはじめられる方法として編みだしたとのこと。実験内容は割愛するが、結果的に紙に書き出して捨てることで怒りが緩和するにとどまらず、ほぼ完全に解消されることがわかった。

個人的なストレスケアとして何気なくやりはじめたことは、科学的に効果があるんだと数年越しに証明された。数十年生きていると、こうした答えあわせがたまに起こるようになってくる。「なんとなくこの方法がしっくりくるな」とやっていたことや習慣が研究によって解明されることで「やっぱり正しかったんだ」と、ちょっと誇らしくなる。生きているのが嫌になることもあるけど、生き方の答えあわせというミニイベントが発生するのは、ちょっと面白い。


▼ 参考

@ym_kn
くらし の きれはし を さらさらと note.com/ku_u_haku