大学は何を最大化するのか

松本佳彦
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国立大学に教員として勤務していますが、個々の授業とか研究以外の「仕事」について、どれだけの労力を投入すべきなのか悩むことが多いです。

「自分が個人的な人生の問題としてどうするのか」もありますが、いま念頭にあるのは、むしろ「組織としてどれだけのリソースを投入すべきなのか」がわからないということです。自分に管理職的な立場があるわけではありません。それでも、たとえば何らかのイベントを開催するとして、「こうすべきだと思う」という発言をする際に、それは問題になります。

「やったほうがいいこと」はいくらでもありますが、もちろん全部できるわけではない。では何を判断基準とするのか。

一般企業であれば「金銭的な利潤を生むことをやる」という一つの明らかな基準があるでしょう。仮に目先の話としては赤字でも、「将来的にその企業が存続していくために、ゆくゆくは役に立つはずだ」という程度の採算の合い方は求められると思います。(CSRだってそういう文脈の中にあるものなんじゃないでしょうか——と思っているのですが、どうなんだろう?)

しかしながら大学は、とくにパブリックな大学はそうではない。大学の活動は、目先の利潤という点では、雑な言い方かもしれませんが概ねすべて金銭的にはマイナスです。もっと長い目で見ても、「その大学が将来的に存続する」ということさえ、おそらく絶対的な要請にはならない。

さてそんな中、たとえば「一般の人向けの公開講座を年2回実施すべきか、1回にしておくか」のようなことを考えるのは大変難しい。2回やったほうが楽しいに決まっていますが、それは何かを犠牲にする(研究時間とか、生活とか)。どちらを取るべきだろうと問うても明確な解はない。そのときの構成員の個人的好みとか、集団内の雰囲気とか、時間的・気分的余裕とか、「前例に従うのが無難だから」とか、そういうことで決まっているのが現時点での実情だと思われますが、いったいどう考えていくのがいいんでしょう。ほんとうに機能するミッション・ステートメントが必要なんだと思います。形だけだと有害で、「ほんとうに機能する」という点が重要です。

何の答えも出ませんが、とりあえず以上を今日の記録として残しておきます。