ばあちゃんが死んだ。
物心がついたときから、ばあちゃんからは死の匂いがしていた。
心臓を取り替えた時、死ぬかと思っていた。
大腸を取り出した時、死ぬかと思っていた。
転けて起き上がれなくなった時、死ぬかと思っていた。
何度も死の扉を叩き、引き戻されていった。
ばあちゃんは30年間、ずっと死を見据えていた。
「納得できる死とは何?」僕は聞いた。
「納得できる死なんてない」そこにはいつものばあちゃんがいた。
1ヶ月後、ばあちゃんが死んだ。
ばあちゃんだったものの手を30秒間握った。
心地よい冷たさがあった。
ばあちゃんが死んだ。