Autodesk Animation Dayに参加してきた

よしろー
·

このイベントに参加してきました。

すみっコぐらしとか全く知らないけどすみっコぐらしの話も含めとても楽しめたイベントでした。

CGWorldの人も来場していたので後日記事になると思うとAutodeskの方がおっしゃってました。

今回はムビナナに絞って、覚えているエピソードを箇条書きで紹介します。多少脚色している部分があります。

諸事情により冒頭の15分程度聞けていません。

撮影関連

  • PARTY TIME TOGETHERは動かない椅子を使ってモーションキャプチャした

  • VRの中に入ってカメラ撮影をした。普段は3D酔いしないタイプだが、一日中だとさすがに疲れるので、休憩を挟みながら撮影していた。

    • 30台以上のカメラをVRの中で撮影した。辛かった

  • 観客席前方からステージを撮影した際、ステージ前方に設置されているライトが邪魔になるシーン。カットによっては完全に排除したり、排除するとリアル感が残らないシーンなどのライトは小さめに変更するなどした

  • 移動するパネルのオブジェクトは実はステージ上の階段と同じ

  • 16人いるので横に広い画を取るためアナモフィックスレンズを使うことは当初からこだわった。ボケもアナモフィックスレンズ特有の楕円に変更するような指示をしたりした

  • 常に177台のカメラで撮影していた。故にすべてのシーンの裏には176のボツがある

  • グループ毎に撮影監督を配置したり、最終調節者を変えることにより、グループの個性を画に出せた。良い意味でグループ間で競い合えたのではないか

  • 1人の女性が16人全員のフェイスキャプチャを行った。MCと歌すべて口パクを行った

  • キャラクターは一体一体レンダリングを行っている

  • 近距離用モデルと遠距離用モデルがある

    • 近距離用モデルには衣裳の質感がある

  • ステージ上でドローンアートをやろうと考えていた

観客関連

  • Unityベースでレンダリングを行った

  • 観客はオレンジ社のモブキャラをベースに作った

  • 観客もモーションキャプチャを行い、それをミックスした

  • 観客がどこを見ているかをコントロールするシステムを開発した(NiGHTFALLで観客席から出てくるアイドルに観客が向くところとかわかりやすい)

    • そしてそれは体全体の向きが変わるので実際には不自然だが、幸いにも足元は映らないし、体も上下しているので違和感がないようにできた

  • 観客は何万人もいるが、モーションキャプチャの数には限りがある。そのため、体の向きやタイミングの「ばらつき」をパラメータで調節していた

  • パラメータの一つに「波」というものがあり、ここはこだわった。

    • 「波」とはなにか。音は音速で広がる。会場が広いと場所によって音が届く差が生まれる。故にペンライトを振るタイミングも変わってくる。それをパラメータ化して調節した

  • MCシーンでアイドルが手を振るモーションをアクターさんが入れてくれたので、その瞬間、観客のペンライトの振りを多めにするなどした

質疑応答

Q ムビナナを創るうえで参考にした作品はあるか

A Slack上で各々気に入っている作品を紹介しあうなどしていた。いろいろなもの参考にした。アイドルに偏ることがないよう、Alexandrosやジャニーズ系~Elvis Presleyまでいろいろ見た。タイミング的にちょうど嵐の活動休止が決まって映画になった作品があり、参考になった(多分これ

---

Q どのような体制でクオリティを担保したか

A 2名ディレクタがいた。1736カット(数値自信ない)になるとは当初思ってもいなかった。レンダリングコストを削減するためのパイプラインを作成した。

---

Q 可動式パネルの着想はどこから?

A 錦織監督の絵が動いたら面白いと思って試したらばっちりハマった

---

Q 本作は画作りのパフォーマンスではなく、パフォーマンスを画にするスタンスはどこから?

A アイナナというコンテンツは「本当に彼らはいる」というテーマが根底にある。そのスタンスが自分の価値観と一致した

---

Q どれくらいのストレージ容量を使ったか

A 撮影のみだと10TB弱

---

Q ライティングはプロの助言があったか

A ライティングのプロは召喚していない。全部自分たちで学びながらやった

---

Q キャラクターの解釈はどのようにしてディレクションしたか

A ディレクターがそれぞれコンテンツに触れ、そこから伝播していった

個人的な感想

山本監督の「実際にいる彼らのライブを撮影する」というスタンスがあらゆるところで効いているのが良く分かりました。

アニメなんだから普通にアスペクト比をワイドにすればよいだけなはずなんだけど「彼らはいる」

だからアナモフィックスレンズで撮影しないといけない。

だからボケもアナモフィックスレンズ特有のものにしなければいけない。

とどんどん演出が繋がってくるところとか感動してました。

あと、Pieces of The Worldを流しながら解説をされていた箇所があったんですけど、どうも聞きなれているPieces of The Worldじゃなくって、無茶苦茶歌が上手い誰かが歌ってるんですよ。ほんとうに歌が上手かった。多分Pieces of The Worldの仮歌。

とあるイベントで保志さんが「ミライノーツを奏でての仮歌が好きでよく聞いている」とおっしゃっていましたが、仮歌入れている人が同じ人だったとしたら確かに聞いちゃうと思いました。

さてとムビナナみよっかなー。