いつからかと聞かれたらきっと生まれて初めての葬式を経験してからだと、記憶している。
夜になるとザワザワと心が黒い靄に覆われていくような、じんわり、じわりと、覆われていくような感覚を覚えてからずっと
時折こうして夜になると物悲しさを感じるようになった。まだ生きていた朝、死んだ夜
たった数時間で人間の生命が消えてしまうものなのかと知ったその日から少しずつ、寂しいと、悲しいと感じる夜が生まれた
リセットに辿り着いたのはそれから数年経ってからだった。考えたくない事が多い時ほど夜明けを見ては、夜に殺した自分を置いて朝を迎えるようになった。生まれ変わるとまでは言えなくても、それに近いなにかのカタチを取らないと立てなくなる時が自分にもあるんだと自覚したから。
夜明けはリセットだ。
更けていく夜に自分を沈めて、押し込んで、埋葬してから、明けゆく空と共に一から自分を立て直して、作り直して、夜明けと共にまた息をする
いきずらい、生き辛い、息づらい
呼吸が止まる前に夜明けを見ては息を繋いでいく