短歌

yodaka
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朝ぼらけ 書いた手紙をかざしては 透ける文字にもあなたを探した

この道は私の選んだ道ではない 選ばなかった君を憎んだ

私には夢も希望もないけれど失うだけの日銭もないな

愛してる 言葉に出して言う度に 愛してるかを確かめる僕

このままで良いと吹かした煙草さえ熱くなるまで名残惜しく吸う

ストーブをつけるあなたの優しさがストーブよりも暖かいんだ

君の声思い出せなくなって尚好きだったことは忘れられない

さよならはまた会うためのおまじない あの時なんて言えば良かった?

夕日にも夜月にだってないもので私になくて君にあるもの

手を繋ぐ伝わる肌の温度より伝わってくるあなたの言葉

1人より2人が良いと言ったけど君がいいなら3人でも良い

世界では何万人が死んでいる僕は毎日何故か死にたい

もう書ける言葉1つもなくなって絞り出るのはいつも君だけ

心などない方が良いと思うけどどうせ捨てるなら君にあげるよ

「あなたには分からない」なんて言うけれど分からないから君が愛しい

君じゃない人が差してくれてふと気付く 君の右肩が濡れてた理由

こんなこと意味が無いから辞めようか 辞められるならとっくに辞めてる

口ずさむ歌をうるさく言う君が居なくなってからは歌ってないな

パンを焼く いつもは2枚だったけど 1枚だけだと焦げてしまった

「やめてよ」と言っても背中に手を入れるあなたの温度が今は恋しい

暖炉の火 薪の焼ける音 その匂い 私の心は冬模様

朝なんて来なければいいと思う日と朝が来なくて泣いている日と

「私には何も無いの」と言う君の「何も」に含まれ損ねた僕だ

富士百景 東京八景 追う僕が吐いているのはとんだ滑稽

レコードに落とした針が音楽を奏でるまでの間の時間

書いた詩を見返すことで保つ自我 何かおかしい何がおかしい

紫陽花が咲いているから君と会う 理由になればなんだっていい

心して聴いておくれよ僕の歌 頭の中から出てこないけど