フユノカ

餅花ひより
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日も落ち、足元暗く、建物の影がぼんやりと浮かび上がる帰路。

アスファルトの足元を辿るうち、ほつほつと白いものが落つのが、目に止まった。

桜だろうか。

今は真冬。咲くには早すぎるが、先日の小春日和の日に、寝ぼけた桜木がほのほの蕾を開かせているのを見た。

ねぼすけ仲間か。

思って白の足跡を辿り、ぼやけた顔を見ようと目線をちらと上げた。

と、瞬間。

ふくいくとした香が顔を包む。

あ、と気づき、ふた呼吸目に、そうだったと吸い込んだ香りをゆっくりと味わった。

梅の季節だ。

おんぼろのアパート横、雷の様に広げた腕いっぱいに咲くそれは

真冬を告げる、香り高き白梅だった。

@yoki_hiyori
文アルがすきなカニ🦀 文字を書くのも好きなので、文字を書きにきた。 日記とか書きそう。