正月休みを利用して鏡リュウジさんの『占星術の文化誌』を読んだ。
ときに医術や絵画、心理学においても用いられてきた占星術の知識・教養について書かれた本で、やっと読めた。本に触れない期間が長いと読み切れるか不安になるのでよくない。
興味深かったのは統計的に見れば占星術は当たらないのは明らかだと言及されているところだ。鏡リュウジは占星術を生業にしている人なのでよく言い切ったなと驚く。
当たらないのは当然のことだし、星占いをまるきり信じてる人もまれだろう。朝の占いで自分の星座の占断とおりの出来事が毎回起こるなんてことはない。でも、私は星占いが好きだし、朝の占いコーナーも雑誌の星占いもなくならない。
そして本では「統計的にあたらない」星占いがなぜ人々に求められているかについて、一回限りで当たればいいからだという旨の話が続く。それはそうだ。例えば進路や恋愛の悩みがあったとき、「その時」の決断が大きく今後に影響してくる。悠長に「〇〇%の確率」で「暫定的に正しいとされている」と注釈の入る科学よりもぴたりと何かを言い当てるオカルトのほうを好む人もいるだろう。まだオカルトは社会でやっていけるらしい。
オカルトの不思議さが好きで、そこここにオカルトがあることを思うと科学至上主義の考えよりも、科学とオカルトが相補的な関係になれればと思っている。科学は再現性のないものや、観測によって結果が変わるものには弱いので。