サービス、機能比較はタイミングによって見え方が変わるよという話

yonemon
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普段筆者はECサイトの構築に関わることが多いのですが、ときどき以下のような要望をいただくことがある。

「ECサイトをリニューアルしたいのですが、提案いただいたカートシステムでAとBで機能面でどう異なるのですか?」

一見この問いに対する答えはすぐに出せる気がする。なぜなら機能的差分ならある程度ドキュメントやベンダー担当者に確認すれば機能比較表が作れそうだから。

ただし、この問いに答えを得る際には注意すべきことがある。それは「プロジェクトにおけるタイミング」です。

RFPや全体的なデジタル戦略が定まっていてその上でベンダーや制作会社へ先ほどの問いを投げるのはとても効果的です。

一方でRFPなどがまだ定まっていない場合は、機能的な点の話を聞いてもほぼ意味が無いと言っても過言ではないと思います。具体的な要件が定まっていない状態での表面的な比較であれば特定領域の主要機能におけるSaaSサービスやツールでできることの星取表はほぼ同じになるからです。

一つのサービスに寡占されていないということは当然強み・弱みがあってそれぞれにユーザーが分散しているわけですが、ソフトウェアにおける抽象度の高い比較ではアップデート頻度が高い特徴もあり意味をあまりなしません。

実際抽象度を高い状態でサービスを提供するベンダーさんに質問しても、条件付きの前提の上で「全然対応できると思いますよ」と答えられてしまうため、どのサービスでもうまくプロジェクトが進行しそうな気がしてくるでしょう。

しかし、要件定義をしていくとこのシステムはA社だけ、この機能はB社でのみ利用できるといったように大きな差分がでてきてしまいます。

特にビジネスにおける戦略部分に大きく関わる箇所で見切り発車してしまったばっかりに利用システムの機能的差分に影響を受けてしまうと取り返しがつきづらくなります。

要件定義前と後では以下図のイメージくらい印象が変わるはずです。

要件定義前のサービス比較の見え方
要件定義後のサービス比較の見え方

まとめ

結論、サービス、機能比較はタイミングによって見え方が大きく変わるので抽象度の高い内容は前段で、機能的な点の話は要件を詰めてから適切なタイミングで評価するのがいいよということになります。このタイミングと手法がヒアリングなどでごっちゃにならないよう注意したいですね。

@yonen
しずかにひっそり暮らすEC系Webエンジニアです。