2月8日によせて

yoruhigurashi
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A son was born to our emperor on February 8,6913[1404],the second son to receive the name Constantine.

He was destined to become emperor.

(The Fall of Byzantine Empire, A Chronicle by George Sphrantzes,1401-1477,transl. by M.Philippides,Amherst,1980)

 

ゲオルギウス・スフランゼスの小年代記において、コンスタンティノス11世の誕生は非常に簡潔に記述されています。

コンスタンティノスの名を授かった二番目の息子という一文が、彼よりも以前に同名の子どもがいたことを示しています。マヌエル2世の第二子コンスタンティノスについては、スフランゼスの著書以外での言及がほとんどなく、その死は1405年2月頃と考えられているそうです。(※)

最初にコンスタンティンスが亡くなったことにより、その直後に誕生した男子に同名を授けたのだと思われますが、それほどまでに母方の父の名を継がせたかったのでしょうか。もしかしたら、その想いの強さを受け継いで、兄弟の中で唯一Dragasesを名乗っているかもしれません。(※)

通常であれば、五番目(第二子のコンスタンティノスを含めた場合)の皇子であるコンスタンティンス11世が帝位に就くことはなかったでしょう。兄たちの死、そして先帝に子どもがいなかったことなど、様々な偶然が積み重なった結果(先述でスフランゼスはそれを運命と記す)、彼は最初の皇帝と同名の最後の皇帝となったのだと思うと、その生誕を祝う以外の名状し難い思いも込み上げてきます。

 私はFGOのコンスタンティノス11世が好きで、だけどそのキャラクターの派生元となっている実在の人物に思いを馳せずにはいられません。史実上の人物そのものではないと分かっていても、彼の生きた時代背景、文化、制度、その歴史を取り巻くあらゆる事柄を知りたいという思いに駆られています。同一視をしているわけではありませんが、決して切り離すことが出来ないのも事実です。

浅学ながら知るほどに分からないことが増えていき、日々何かしらの調べ事をするのが既に日常となりました。

 その一方で、コンスタンティノス11世にまつわる折々の記念日については、どのように扱って良いかをいつも迷っています。とはいえ、好きなキャラクターの誕生日くらいは単純にお祝いすれば良いのでしょうが。

 

今年は別所に長文2本(再掲含)と短文1本をアップする予定です。いずれも誕生日とは関係がないお話です。そういえば、これまでも誕生日をお祝いするような話を書くこと自体がほとんどありませんでした。

 

 Χρόνια πολλά! Με ευγνωμοσύνη και δέος για την ευτυχία να σας γνωρίσω.

 

※平野智洋「ゲオルギウス・スフランヅィス『回顧録(小年代記)』翻訳、註釈と解説(1)―序文より第14章まで(1401-1427年)」東海史学第44号 2010年

※冒頭でコンスタンティノス11世の生誕年が1404年となっていますが、平野氏の回顧録翻訳や多くの書籍では1405年とされています。

@yoruhigurashi
いつかの備忘録。