
その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか/アグラヤ・ヴェテラニー
祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれる――。
断片的な文章は反復を繰り返し、書かれなかった余白に言葉が残響する。
全編にわたって詩のような雰囲気があり、古ぼけたフィルムを見ているよう。タイトルにかなりインパクトがあり、作中でも度々「なぜ子どもはおかゆのなかで煮られているのか」その理由が書かれている。そういった残酷な空想をすることで彼女はある種のトラウマを自分で癒やそうとしたのかもしれない。
39歳という若さで自死したアグラヤ・ヴェテラニー。もっと彼女の作品が読みたかった。
電子書籍で読んだが、紙の本で欲しい。