
夜の舞・解毒草/イサアク・エサウ・カリージョ・カン、アナ・パトリシア・マルティネス・フチン/国書刊行会
全編マヤ語で書かれたマヤ文学。
どちらの話も虐げられている女性が登場し、テーマとなっている。「夜の舞」は昼から夜へ、現実から夢へと往復し、幻想的な雰囲気のある作品。夜に現れる「小夜(シュ・アーカブ)」は主人公フロールの母であり、フロールを導いていく様子は優しく、文章表現としても美しい。ラストは所謂ハッピーエンドで読後も爽やか。
一方、「解毒草」は貧困に喘ぐ老婆やいかれた女とされる娼婦達が主人公で、話としてはこちらの方が好み。マヤ語の表現が多く使われているのでとても新鮮に感じられた。どちらも先住民文学とのことで、人々の自然と一体になった暮らしぶりなども興味深く読んだ。