
待っていたのは/ディーノ・ブッツァーティ/河出書房新社
15編の物語を収めた短編集。
ちょっとしたことから大惨事に発展するという物語の構成は不条理かつ悪夢的。不安、焦燥が膨れ上がり、やがて瓦解していく――もう取り返しがつかないという絶望感と読者を突き放すような幕切れがカタルシスを誘う。
もう少し書き方を変えたら喜劇になるところをギリギリのところで不穏さを湛えた世界は流石はブッツァーティ。
どれも楽しく読んだけれど物語のラストを飾る「冒瀆」が一番好み。12歳の少年が罪の告白に関して煩悶し、それに関してあの世で裁判をかけられる話だが文字通り(自殺までして)命懸けで幼い主の元に駆けつけた使用人との絆にほろりとする。
また童話的な「クリスマスの物語」も良かった。