
母は決して枕元のプレゼントがサンタクロースからのものだとは言わなかった。あくまでも知らぬ存ぜぬで通していた。子どもに嘘をつきたくなかったそうだ。たしかに、幻想を大人側から創り上げて子どもに押し付けるこの催しはばかげている。しかし、皆がプレゼントをもらえているのに自分だけはない、というのも寂しいものだ。どこまでも誠実な人であったと思う。さんざこき下ろしておいて説得力も何もないかもしれないが、母は善い人だったのですよ。あの潔癖さは見習うべきところがある。現実主義者で、おためごかしは許さない。しかし冷酷なわけではなく、情に厚かった。たまにはほめておかないとね。よかったことも悪かったこともよく覚えておくために。