身体表象と性/VRとリアルのはなし

吉海こすず
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メイクをしているとおねえさんと呼ばれる。私はおねえさんに見えるのか。ふーんおもしろ、という気持ちと外見で性別を判断するのガチでやめたほうがいいですよの気持ちになる(表象と性別はまた別のものであるため。特にトランスジェンダーやノンバイナリー、Xジェンダーのひとはミスジェンダリングされがち。私は女性から無性を漂っているような感覚のXジェンダーを自認しているが、他者からどう扱われるかはあまり興味がない)。いままで子ども扱いしかされてこなかったから大きな変化だ。そのうちメイクをしていなくてもおねえさんとかもしくは別のラベルで呼ばれるようになるのだろうか。私は自身の身体のことを素体が変更不可・経年変化するアバターとしか思っていない。そこによく知らん他者から勝手にラベリングされるのって実に不思議なことだ。私も半ば無意識におこなっていることでもあるのにね。

ところでさいきんVRChatに興味がある。いまんところリアルな肉体としてのアバターは気に入っているのだけれど、もしこのさき好きじゃなくなったら、バーチャルな肉体ならつねにお気に入りの姿でいられるな、とも考えている。老いは肉体にとってマイナスなこととして語られることがあまりにも多いため、そんなふうに思ってしまっている。できれば好きなままでいたいなあの気持ちでいる。

それから天使界隈(水色界隈)にも興味がある。ファッションのジャンルのひとつだ。気になったかたは各自調べてほしい。天使界隈自体、インターネットやサブカルの影響を受けている。そのため理想像が「二次元のかわいい女の子」であると私は解釈している。VRChatのアバターも、これまた天使界隈をイメージしたものを販売している人がいる。バーチャル世界のアバターと、現実世界のお洋服を横並びに閲覧している自分がいて、なんだかおもしろいことをしているなと思った。どっちも「ファッションによる自己表現」であることには変わらないため、同じカテゴリに入っている感覚だ。ただそれを使える場所が違っているというだけで。

私はインターネットに頭のてっぺんまで浸かっている人間なので、バーチャルリアリティもまたひとつの現実であるとすんなり受け入れられたふしがある。そこにはコミュニケーションも人間関係も発生していて、なんらリアルと変わらないと思う。ただ肉体の可変性が著しく高い世界であるだけだ。あ〜〜、ハイスペックなPCがいますぐほしい! VRChatやらせてください! ここんとこ毎日のようにiOS版の開発に思いを寄せています。進捗いかがですか。切実にお待ちしています。

@yoshiumintyu
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