皿を拭きつつバードランドだけ聴けばいいやと思って最後の曲のバードランドを聴いた。
一番よく知られている曲をライヴのどこに配置するかは永遠のテーマだなあとか考えていた。
そうしたら反復されるフレーズが異常に気持ちよくて皿を拭く動作が完璧に音楽に支配された。
これはなんだと思った。
頭から再生を始めた。
ジャコ・パストリアスのベースがただごとでない雰囲気だった。
ベースが支配している感じがした。
ストロークと出音との間にまったくタイムラグというかロスがない、ジャコが感じたことが即、音になっているような演奏だった。
音は太くて硬い。
なのにいつも歌っているみたいだ。
ジョー・ザヴィヌルとのユニゾンがぞくぞくする。
ユニゾンというか一人の人の音みたいにきこえる。
ピーター・アースキンのドラムの緊張感がすごい。
観衆は当然熱狂している。
このアルバムはRising Sunというタイトルがついているが、検索しても出てこない。
ジャケにはThe full 1978 Tokyo Broadcastと書いてある。
Tokyo?!
異常に音がよい。
バランスがよいのだ。
ライン録りっぽいのにどうして当時リリースされなかったんだろう。
ウェザー・リポートのWikipediaを読むとこのころのジャコはジョニ・ミッチェルと仲がよかったと書いてある。
ジョニのミンガスの頃だ。
それなのにどうしてジャコはあんなふうに死んでしまわなくてはならなかったのだろう。
この絶頂期と死までにはちょっと時間があるが、こんな才能を持つ人がと思わずにはいられない。
ウェイン・ショーターの音がクールだ。
ここぞというところでペーと入ってくる。
16ビートの曲で、ジャコがルートで16分を刻みつつ上の音で遊んでいるプレイが人間業ではなかった。
こういう人がバンドにいてくれるととても助かる感じだ。