50代より上の単身女性——多くは離婚して子どもも成人している——が、ひとりで住む家を紹介する本だった。
これは電子書籍の読み放題サービスにあった。
私も配偶者が急死したりしたらひとりだ。
とても他人の話とは思えず、熱心に読んだ。
今私はエレベータのない集合住宅に住んでいて、階段を上がらないと家に入れない。
もし足を骨折したり、病気で車椅子を使うようになったりしたらそこへは住めない。
今の家賃を70代になっても納めつづけられるかもあやしい。
とても気に入っている住まいだが、終のすみかとは言いがたい。
次に引っ越すとしたらどんなところがいいだろう。
今の勤め先も永久にいられるわけではない。
非正規雇用なので成果が出なければ来春にでもさようならだ。
でも私はひとりになったとき、家賃の保証人に立ってくれる人が誰もいないので、それだけで詰んでしまう。
しかもそのとき高齢だろう。
他にもそういう人はいっぱいいると思うのだが、みんなどうしているのだろう。
この本の話に戻ると、月5万円で一人で生活している女の人がいた。
食費は月に1万円だ。
インテリアは100円ショップでまかなっていた。
インテリアはともかく、食費1万円というのがすごい。
そこまで自分の暮らしを小さくできるか、でもやるしかなければそうするしかないのだ。
月に生活費が5万円ですめば、いろいろなことから自由になれるかもしれない。
将来はもう買えないかもしれないから今、タルコフスキーのブルーレイを買うのだ。
後回しにしないで積極的に鑑賞しよう。
この本を読んで私は、考えなければならないことから目をそらしてきた自分に少し思い至った。
世の中には堅実な人たちというのがいるものだ。
女の人が自分の住む家を自分一人で考えてローンを組んで建てる、そんな話がごろごろしていた。
戸建てでないまでもマンションをリノベーションしたりしていた。
古民家を自分で直して住んだ人もいた。
同じテーマとテイストの本をもう何冊か読みたい。
考えさせてくれるのが私にとってよい本だと思う。
この本はいろいろなケースが紹介されていてよかった。
共通しているのは、どの人も「自分がどうしたいのか」を考え抜いているところだ。
不確定なことに悩んでくよくよするのはよくないが、自分がどんなふうに10年後20年後を過ごしていたいか、想像することは必要なのかもしれない。