サントロフィは西アフリカのガーナからやってきて西日本を中心にツアーをし、今日がツアーファイナルだった。
伝統的に神奈川のお客はおとなしくて反応も速くない、と私は長年の県民ホールにおける催し物の観覧経験から思っていた。
しかしサントロフィはお客をのせるのがとても上手だった。
万人にほぼ共通なテーマを訴えかけもしていた。
日ごろ私が親しんでいる音楽、それはざっくりいうと西洋音楽だったり、西洋音楽の影響が色濃いアジアの音楽、たまに聴いていたインドの音楽、なのだが、そのどれとも全然違う音楽にきょうは接することができた。
とくにリズムのつくり方が全然違った。
ドラムキットを例に取ると、最初の曲ではフロアタムでずっとビートを刻んでいてときどきスネアが入った。
音に迫力があった。
ハイハットは飾りなのかなと思ったけれど、使っている曲もあった。
曲によってドラムキットの使い方が全然違うのだ。
8分の6拍子かなとはじめ思ったけれどどうみても2拍3連の曲があり、その曲ではハイハットで2拍3連をたたいていたように思う。
と思えばライドシンバルのカップエリア、またはフロアタムの内側にセットしたカウベルで刻んでもいた。
しかしショウが進むうちにそうしたことはどうでもよくなった。
立って踊ってくださいと彼らが言ったからだ。
日本の人は従順なので周りの人が立つとみんな立つ。
立って体を揺らしてみるとけっこう激しい。
手拍子を要求されたりもするのだが、休符が入ったりシンコペイトしていたりして、ふつうのシャンシャン四つ打ちではない。
コールアンドレスポンスももちろんある。
ライヴエイドのフレディマーキュリーを難度5とすると、サントロフィのコールアンドレスポンスは難度8くらいだった。
でも楽しい。
メンバーは全員歌えて楽器の他にパーカッションもできる。
メンバー紹介で紹介された人がそれぞれにひとりずついろいろなパーカッションをたたき、それが積み重なるさまがおもしろかった。
こんないい音楽が毎日ライヴで聴けるのならガーナに引っ越そうかなと思った。
しかしどうやって仕事をしよう。
現地の言葉も知らない。
引っ越そうかなと思うくらいよかった。
キューバといえばブエナビスタソシアルクラブと思うくらいに、ガーナといえばサントロフィなのだった。
他に知らないからだ。
すごい知名度の上げ方だ。
これは直接会場で聴くのがいちばんいい。
自宅近くの会場は既に売り切れていたので県民ホールにしたのだが、それだけでなく、関東の別の会場でも観ればよかった。
勉強になった。
不思議なのはお客が60代以上の人たちで占められていて、しかも席の離れた知り合い同士が異常に多かった。
何かの組織だろうか。
そこに我々はまぎれこんだような気がしてならない。
我々はたまたまラジオ番組でサントロフィを知ったのだった。
大きなフェスで観てもすごく楽しいだろう。