練習ってこんなに苦しいのか。
正しいフォームを身につけるのってこんなにきついのか。
私はなにも知らなかった。
きょうはランニングのパーソナルトレーニング、そのお試しの日だった。
先生はむちゃくちゃ感じのよい人で、出し惜しみしないし、私がへぼくてもばかにしたり怒ったりしない。
根気強く私の体のくせみたいなものを正そうとしていた。
私が言われたことをすぐ忘れても根気強く指摘してくれた。
え、あと1周走るんですか。むり。まじでむりです。
と内心では思い、呼吸は激しく、心拍数は190を超えていたが、まさか自分からむりですとか言えないので死ぬ気でついていった。
先生はいっしょに走ってくれる。
私が以前、たまたま見かけたワイナイナさんの走りのフォームの謎がだんだん解けるようだった。
帰りの電車で座席に腰掛けられないくらい汗みずくになった。
驚くべきことに、先生にいわれたとおりのやり方で走ったらひざが痛くならなかった。
私はランジをするときにつま先が前足も後ろ足も外向きになっていることを指摘された。
あと、ももの前側がかちかちに固くて、大臀筋をまったく使えていないことも判明した。
先生は駅のエレベータもエスカレータも一切使わず、電車の中で座席に座ることもないと言っていた。
トレーニングのためにだ。
私がよかれと思ってホームコースで工夫していた走り方は全部間違っていた。
習えてよかった。
どうしてもエリートランナーの走りを身につけたいので、その先生から引き続き習いたい。
今は涼しい家の中だからそう思えるが、習っている最中はしんどくてたまらず、私がこんなことをやろうとするのはなにかの間違いで、家で寝ているべきだ、とか、いろいろな念が頭を去来した。
でもちょっとずつ私は変わるはずだ。
帰宅して風呂場でひざに冷たいシャワーをかけた。
そのあと湯につかりながら生協の注文をした。
そして洗濯をして干した。
ランニングベストもぐっしょりなので洗った。
ちいさな住まいの中を行ったり来たりする間も、ずっと体の使い方のことを考えていた。
先生は小さなカメラで動画を撮ってくれた。
それが近日中に共有されるはずだ。
自分が歩いたり走ったりするもようを見られるのは貴重な機会だ。