後追いファンなので初めて聴いたアルバムがTown Ageだった。
それ以前の曲も発売当時ラジオで聴いたことがあったのだが、声に特徴がある人が歌っているとしか思えなかった。
Town Ageには不思議な魅力があった。
それからシフォン主義、ハイファイ新書、シンクロニシティーンという3枚のアルバムを聴いた。
けれどTown Ageほどには響いてこなかった。
この違いはなんだろう。
メンバーチェンジがあったことを知った。
本格的に心をわしづかみにされたのは、2015年2月にリキッドルームで彼らのライブを見てのことだった。
アルゼンチンから来たフアナ・モリーナとのツーマンだった。
ステージ上にドラムセットが二つしつらえてあるのを見て、これは転換を早くするためにフアナ・モリーナのバンドのドラムセットがあらかじめ置いてあるんだなと一人合点していた。
でもそれは違った。
ツインドラムだった。
ツインドラムを生で体験するのは初めてだった。
大変な迫力だった。
音が大きいとかそういう話ではなくて、リズムが二つずつあるようなものだった。
そしてやくしまるえつこさんの存在感がくっきりしていた。
曲間に楽しいおしゃべりとか全くなく(それは珍しいことではないのだが)、なにか決め台詞があった。
あと不思議なスティック状の光るデバイスを持っていて、それを動かすことによって音にエフェクトがかかっていたように思う。
演奏力が非常に高いバンドで、やくしまるさんのヴォーカルがそれに埋もれることはなく、火花が散るような時間だった。
棒立ちになって見ていた。
それからしばらく月日が経ち、ライブ会場限定で売られていた相対性理論のシングル盤が配信リリースされた。試聴してその迫力に度肝を抜かれた。
特に2曲目の「キッズ・ノーリターン」はツインドラムで収録されていた。
聴くとライブの興奮が蘇る。