三宅香帆 著、集英社新書。
この本は、日本の、明治以降の人々の労働の歴史と、それぞれの時代で人々がどんなものを読んでいたかを重ね合わせて論ずるもので、おもしろいのであっという間に読んでしまった。
人々がどんなふうに生計を立ててきたかでその時々に読まれるものも変わってくる。
この本のタイトルを見て思わず購入したのは、私も本が読めなくて困っているからだ。
私の場合は1999年にコンピュータを買ってインターネットに接続して以来本が全然読めなくなっていた。
その損失は大きい。
人々の生計の立て方が変わってくるのは国の方針や社会の情勢が影響している。
好きなことを仕事にするという言葉の響きはかっこいいけれど、それによって犠牲にされるものがある。
私は本から引用したり、本の結論を書いたりするのが好きではない。
だからぼんやりしたことしかここには書けない。
「全身全霊」のコミットメントを求められる世の中はうつ病行きの急行列車だ。
誰かに強いられて疲弊しているのではなく、自分で自分をもっとがんばれるはず、がんばりたいとたきつけて自ら疲弊させているのが今の世の中であるという指摘に衝撃を受けた。
好むと好まざるにかかわらずそうした時代を生きている。