くりくり坊主

yosyuku
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公開:2024/5/19

前に刈ったのはいつだったか、髪がのびてきているのが非常に気になっていた。

しかし刈る気力がなかった。

椅子やテーブルをたたんで新聞紙を敷くのがおっくうだった。

きょう刈ることができて非常に気分がよい。

ケープをつけていると暑かった。

しかし頻繁にめがねをかけて合わせ鏡をし、刈り残しがないか入念に確かめた。

これまでで最も時間をかけて仕上げただろう。

もし、私が職場を去ることになったら就職活動をするだろう。

そのときもくりくり坊主でいられるだろうか。

メイクを一切せずにいられるだろうか。

髪を伸ばしてメイクをしないと採用されないだろうか。

私が雇用主だったとして、メイクをしていないくりくり坊主が面接に来ても落とさない。

そのことには一切触れない。

しかし私は雇用主ではなく求職者だ。

なんなのこの社会の慣習。

誰が得をするというの。

百歩譲ってくりくり坊主でもメイクは必要かもしれない。

色のついたてきとうなリップクリーム、ルースパウダー、アイブロウパウダー、アイカラーとマスカラをそこいらの薬屋で買えばいい。

3000円あれば揃うかな。

業腹だがしかたない。

でもいやだなあ。

私の予感は職を失うほうに動いている。

私を傷つけた人はふつうに給料をもらい、退職金までもらうだろう。

傷つけられた私は収入もないのに会社に社会保険料を納めつづけ、あげくのはてに部署異動もできずに会社を去るだろう。

不安でいっぱいだ。

どうして私が私のままでいては稼いでいけないのだろう。

@yosyuku
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