それは、かちこちに硬くなった太ももの前側の筋肉と、それに起因する腰の痛みらしい。
ちゃんと走れているランナーは太ももの前側がふにゃふにゃにやわらかいのだそうだ。
そして太ももの後ろ側の筋肉(ハムストリングス)と大臀筋が発達している。
私はその逆だ。
これは長い長い年月をかけて培われた体のくせなので、一朝一夕には改善されないだろう。
これからは、ひまさえあればももの前側を揉んでみよう。
きょう、パーソナルトレーニングのチケットを4枚まとめ買いして、そのうちの1枚を使った。
これだけ激しく投資したのに途中で投げ出したら目も当てられない。
きょう、パーソナルトレーニングのおしまいに、
「今日は足りなかったでしょうから、これから3km走ってから帰ってください」
と先生がいうので、私は思わず自分の腕を前に出し、軽く先生をはたく動作をしながら、
「ご冗談を」
と返した。
そうしたら先生は、
「ぼくは本気です。天気もちょうど涼しいし」
と言っていた。
私は先生と別れたあと、ずんずん野原を歩いて水道のところへ行き、水を少し飲んだ。
そしてベンチに腰かけた。
でも、そのまま立てなくなって太陽に灼かれて死んでしまうと思い、蛮勇を振るって帰宅した。
自分の人生を振り返ってみると、いつも、がんばりにがんばって、その後、ある地点でがんばりの糸がふつっと切れて急に弱腰になる。
きょうのトレーニングは準備体操で腕を回しているだけでもう汗が出てきてへとへとだった。
走っていても苦しいですと言って止めてもらった。
どうしてだろう。
前回と前々回はがんばれたのに。
きょうのトレーニングの最中は、
これは端的にいうと地獄だな。If you're going through hell, keep going.
と考えていた。
なぜか地獄のようにきつかった。
呼吸がふいごのようだった。
先生は平地を走るのをやめて階段を使った。
上るより下りるほうが、わけがわからない。
しかもおそろしい。
そして私は、こけるのがこわくてサイドランジのときに腰を落とせない。
落とせたとしても上体がすごく前傾する。
落とせても立ち上がれなくなってしまう。
足首が異常に硬くて、足幅を広くとらないとしゃがめない。
これも私が長年にわたり、培ってきたものなのだ。
でも最初からそうだったような気がするんだよな……。