マシュー・サイド著、有枝春訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン刊。
原題は “Black Box Thinking : The Surprising Truth About Success” で、航空業界の話が多かった。
おもしろい本なのに読みかけで他の本を読み散らしているうちに前半部分の内容をほとんど忘れてしまった。
過集中におちいると危険だと書いてあった。
過度な単純化も同様に危険だ。
思い出せるのは冒頭に挙げられていた医療ミスによる死亡事故と、その遺族が医療業界で再び同じことが起こらないように、手弁当で活動をしていること、デイヴィッド・ベッカムが練習をものすごくする人であること、ブリティッシュエアウェイズのパイロットが乗客を危険にさらしたかどで有罪とされ、数年後に自殺したこと、こうして書いてみるとそこまで忘れてはいなかった。
電子書籍の読み放題サービスで読んだ。
巻末に参考書籍としてアトゥール・ガワンデの本が挙がっていた。
アトゥール・ガワンデの『死すべき定め』は紙の本で買って持っているが、よい本で、万人にすすめたい。
話がそれた。
犯人さがし、つるし上げをしたい心が人にはあり、事象の背後にある様々な事情を勘案することをすっとばして、原因を単純化して、悪をまつりあげ、叩く。
そうした例には枚挙のいとまがないようだった。
我々の世界にはまだ手つかずの至らないところがたくさんあるのだなと感じた。