早めの盆休みの人出を私はなめてかかっていた。
そしてなぜか新宿三丁目駅の、世界堂に近い出口の番号をメモしたのに覚えられなかった。
改札はここだと思って上がった階段がなぜか丸ノ内線のプラットフォームだった。
しかもそこには警察官が何人もいて、利用客もめちゃくちゃ多かった。
回れ右してまた階段を下りたのか、そこを突き進んだのかもう覚えていない。
海外からとみられる大荷物な人も多かった。
違う出口からほうほうの体で世界堂に着いた。
世界堂というだけあって世界からお客が来ていた。
日本人もわんさかいた。
えのぐの棚の前にしゃがんでスマホの画像とえのぐのパッケージをずっと見くらべている二人連れのお客がいて、ちょっといやだなと感じた。
そんなの一致するはずないじゃん!
でも、私の買いたいものはそこにはなかった。
洗い落とすもの系の棚が別のところにあったのだ。
レジの人に助けを求め、そのレジの人がさらにベテラン店員に助けを求め、最初のレジの人がその棚に連れていってくれたのだが、ものがなかなか見つからず、その人に悪かったなと思った。
棚のはしっこに買いたいものがあった。
もう覚えた。
しかし3パックしかなくて、ほんとうはもっとほしかったけれど3つでがまんした。
1パックで1リットルの廃液をゲル状にできる。
私の筆洗器は、量ってみたらちょうど1リットルぶんの水が入る。
1回水を取り替えるごとに1パックを消費することになるということだ。
だからあまりこってりと色を塗ることにためらいがある。
筆を洗うのがたいへんだからだ。
だから私のアクリル画は色が薄いのだ。
でも、きょうは伊勢丹のほうに行ってしまわなくてよかった。
こんなに迷うなら新宿駅からふつうに歩いたほうがいいのではと一瞬だけ思ったのだが、その想念は暑さによって雲散霧消した。