終わった後上司が私の席に来て、
「よしゅくさん、録画はしたんですよね」
と私に聞いた。
私は
「いいえ、しなかったんです。録画できたのは最後の30分だけです」
と答えた。
上司の目がゆっくり見開かれた。
社長が録画を観たいと言っているのだそうだ。
しかしないものはない。
録音ならあるのでそこから起こしますと言ってしまった。
そんなことを言わなければよかった。
また仕事が増えた。
だいたい録画に頼りすぎなんだよ会社。
Teamsがこの地上からなくなればいいのに。
きょうは、決して私一人の働きではここまでできなかったなあという気分に浸っていたのに、録画を私が忘れたせいで台無しになった。
リマインダをかけておくべきだった。
13時からの90分間で心拍数が4回BPM120を超えて通知が来ていた。
プログラム1は契約上録画が禁じられていて、それが終わったらほっとしてしまった。
終わったら録画を始めるべきだったのだ。
でも今からぐちゃぐちゃ言っても誰も得をしないしどうにもならない。
薬をいくらのんでも不注意はなくならない。
やる気は出なくてもいいから不注意をなくす薬を売ってほしい。
そうしたら製薬会社はとてももうかるだろう。
不注意で衝動ばかり強いのってただの社会不適合ではないのか。
なんだよ不注意って。
そんなやつにオンライン会議のホストをさせないでほしい。
自分が忘れるのはいいけれど周りの大切な人がそのことで落胆するのが耐えられない。
上司にはこの3年間くらいとてもよくしてもらったのに恩を仇で返してしまった。
ジェットエンジンに間違えてガソリンを給油した整備士の話を思い出す。
デール・カーネギーの本に出てきた逸話だ。
同じ間違いを繰り返すことはないという話だった。
ほんとかな……。
録画を忘れないためになにか方策を編み出さないとならない。
ひとまず寝てまた忘れよう。