映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』『犯罪都市 PUNISHMENT』

四折
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公開:2024/9/30

わーわー言ってるだけ


『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』

 予告では、最後に海辺でのちさとジャンプの背中が披露されていたから、冒頭で海遊びかつあんなに長尺を取っていると思わず、ノーガードでちさまひを食らった。

 バナナボートから落っこちるちさと、色違いのペアルック、先に虚無るちさと、カニ見たい!と投げ捨てられるグラサン、まひろに縦に抱っこされて回転するやつ(すごかったね、、、、)、二人で虚無るシーン、美容院の真似っこ、夜の宮崎牛を思う存分味わうために間食はしない・しかしクリームたっぷりのジュースは別という若さ。家での観賞だったら各ポイントでやばいやばいやばいと言いながら映像を止めていた。萌えが怒濤。

 パンフレットにはちさまひのやりとりが少なめと書いてあったけど、テレビ版で仲良しこよしを供給されている身にさえ、全然少ないことないですが?!だった。BMBで言うところの相棒になってる…。

 宮崎県庁戦の終盤、ちさとがターゲットを追いつめたところをかえでに邪魔され、倒されたところから立ち上がり、憤怒の眼で追いかけようとして、まひろでなくかえでが現れた意味に瞬時に気づいて身を翻す髙石さんの演技がマーーーージで良かった。倒れ伏したまひろを発見して涙がこぼれるシークエンスは、半ば演技と現実の境目がなくなっていたとパンフで読んだ。髙石ちさとで伊澤まひろ。その没入をすごいと思うと同時に、「役」の時に受けたダメージを引きずらないといいなとも思います。

 今回のふみ?くんとかも。かえでの149人目の殺しを目撃しながらハンカチをくれた子。ちょっとシーンでの立ち位置を覚えていないのだけど、作り事とはいえ殺害と死体をあの年齢の子どもに直接見させてないといいな…。別撮りしててくれ。

 入鹿が「高圧的な年上女」というステレオタイプではなく、どう他者と付き合っていいか分からない、分からないから殻を纏っていたというバックボーンが語られて、主人公側の仲間になった展開には本当にホッとした。ちさまひや宮内のような「若い女性」は生き生きと描けるのに、「年齢を重ねた女性(いうて30代)」は笑いものにするのか…?、つまりその生き生きも「可愛いガールズ」の持つ可能性ではなく、殺しをやっていたら「おもしろい」という逆張りにすぎんのか???と途中までハラハラしちゃったよ。

 ちさまひvsかえでの団体戦ではおのおの仲間と協力したけれど、かえで側は一方的に過ぎず、結局ラストバトルには独りで立つしかない所と言い、対比がエグかった。仲間意識の強いファームの連中を殺した後に、その残党に血まみれの顔で戦うの止めよう!と「説得」するシーンの凄みすごかった。逆らえないよあれは。それとは別にファームが評判通りに弱いのはウケちゃった。横一列で行進するな。団体戦で七瀬の大きな背中に完全に隠れながら、どんでん返しの要領で位置をスイッチして出てくる入鹿かっこよかったねえ。ラストにへらへらはしゃぐターゲットを無言で片付け通り過ぎて行くシーンも痺れる。

 予告でバチバチに決まってる~!とはしゃいだフォーマルな姿が、実はやや外しちゃってるコーデだったとか、いい意味で予告に裏切られる場面多くて楽しかった。ルビーとサファイヤ。

 田坂・宮内の今日は撃っちゃっていいよ!!も景気よかったね~。シリーズものだから発揮できる景気の良さ。

 ちさとがまひろの顎を掴んだのって2のリフレインでさ、死ぬかもしれないと傾きかけた相棒を生きる方へ引っ張り直す役目を果たす仕草でさ、サンキュー……。

 ラストバトルでマリア像が残るステージに現れたかえで(本作の宿敵)の図って『レイジング・ファイア』の教会戦のオマージュじゃない…? 確証はない。

 ラストバトルに関しては、ちさとの指はやく縫合して!!!に気を取られて、没入するより頭が忙しかった。まひろが立ってるかえでの腹を両足で挟んで、腹筋でぐいと起き上がるアクション凄かった。初戦と同じ頭突きをフェイントに、避けたかえでの頭部の位置をあやまたず膝で打って勝負を決めるアクションも超超かっこよかったぜ…。

 パンフレットで公開された冬村かえでの日記には2月30日の項目があり、その次は当たり前のように3月1日と記されている。きっちりした性格で日付の勘違いなどしそうにないのに。2月30日を経て続くかえでのカレンダーは、つまり社会のカレンダーとどんどんズレを来たすってことで、150人を殺すというとんでもなさを達成目標にする事と言い、戻って来れなくなった証拠って感じで苦しくなる。血で汚れるって分かっているのに白いスニーカーだけ履き続ける執着も、ふみくんから貰ったハンカチを真っ白に洗濯しているところも。

 協会所属の連中はあの世界で殺しをやることに向いているけれど、かえではもしかしたら向いていなかったんじゃないかね。(適性の有無はおいといて殺しはNOですが)

 全体として非常にまとまりもテンポもよく、新キャラも背景に押しやられないし、ちさまひの明るい&シリアスないちゃいちゃもあるし、かえでの造詣は俳優さん自身の力を含めて見事だし、おもしろかったです。


『犯罪都市 PUNISHMENT』

 実はシリーズ2作目「THE ROUNDUP」しか観てない状態で観ました。でも全然話は分かった。

 娯楽暴力映画。でも痛い感じの暴力描写は減ってるなと思った。くすぐりポイント多くて劇場のそこかしこで笑いが上がっており、本編ともども楽しい観賞体験でした。しょっぱなの麻薬デリバリーの本部が作業所の前に鉄格子を立てて手入れを妨害する細工には感心した。二次創作の何かで使いたい。しかしそれを素手で引き剥がすマ兄貴! 一方のペク・チャンギによる店の破壊ではショベルカーを使っていたため、素手のパワーへの信仰心が高まってしまった。THE BIG PUNCH PICTURE。ITには疎くても犯罪の手口への理解度は当然高いから踏み込む前に水道や電気を停めてる手際も最高。ケータイを機種変すると「《同期》が駆けつけてくる」の話、すげえ笑った。後半、大仕掛けの前に局長?から掛けられた警察の心得みたいな文言に感動して反復(やや間違って)して見せたシーンといい、頭が柔軟な人だ。中盤、顔馴染みのヤクザが揉めてる所に乗り込んでカツアゲするシーンでは若いのが無謀にもマ刑事に挑んだが、イスの所の若いのはまったく手を出さなくて、「チンピラ」度の書き分けにグッと来た。イスのGUCCIとポリス・ダーク・アーミーには笑いっぱなしだったが、夢に伴う責任を任されたら何倍ものパワーを発揮できるイスの様子はとてもよかった。

 マ刑事側でもチャンギ側でも約束が物語の軸だった。ついに直接対決となった時にマ刑事は辛さの中で死ぬしかなかった家族への約束を守ることを口にする。約束を守る人マ・ソクトの存在が何よりチャンギに皹を入れていたらいいね。チャン代表も悪い意味で肝が据わってんなあ~だったが(金に執着するにしろ約束を履行した方が損害が少なそうなのに)、恐怖を感じないのだとチャンギを評した言葉はむしろ当人を表していると思った。オンンラインカジノのディーラーに揃えられた白人の美男美女が「ウケる容姿」の露骨な可視化で、ウゲッ…てなった。最終戦で先端の丸まったステーキナイフを握ったチャンギに対して「俺にジャムを?」と煽るマ・ソクトと、瞬時に刃先を壁に叩きつけて折って尖らせ「塗ってやるよ」と応じるチャンギの《対話》、最高でした……。かっこよすぎる。冒頭でエンジンのかかったバイクの発進を素手で止めていたから、離陸直前の飛行機もワンチャン素手で?!と一瞬期待しましたが、さすがにね。犯人を直接捕まえた方が早い。

 なんか見覚えあるな…と思ってたら、悪の親玉チャン代表って『憑依』で剽軽で仲間思いのIT担当助手インベを演じてた人じゃん。同じ「ITの天才」でもこんなに役柄が違う。『憑依』でも霊感詐欺映像の演出してたからワルはワルなんだけど。

 ポリス・ダーク・アーミーのバッジのグッズ欲しいよ~~~。グッズ化することが何らかの法に触れるのであれば、FDAのバッジをベルトにつけて嬉しそうに裾をまくって見せびらかすイスのブロマイドでいいから…。

@yotsuori
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