各タイトルから作文本体に飛べます。リンク先xfolio。
0240228:蓬の裏の柔らかな
恋愛関係にはなく、さわって分かるにこげのような関係の二人。お互いへの「大事」育んでいる頃の日常話。二回り下の少年に「あなたが大事です」と朗らかに言われて動揺していたら皆に言ってると分かってホッとする雑渡は伊作に特別扱いされていないことにホッとしてんにゃけど、それは彼が伊作の敵味方の別なく人を助ける公正さを重んずればの感情で、特別扱いされていると判ったらそういうの無視して連れて行っちゃうかもな〜と自分の欲望に気づいているから。欲望を振り回したり振り回される人ではないから実際に特別扱いされても連れて行きゃしないが。 しかし伊作も忍者の修練は積んでいるのであり、感情を出す場面は選んでいるのであって、大事と伝えること自体が雑渡への特別扱いであるのだった。
20240308:交差
現パロ。ヘアドネするために伸ばしている伊作さんの髪が雑渡さんのボタンに絡んでしまった話。曲者ではない雑渡さんです。 職場の研修に参加しているので他者の見た目で性別を判断することを避けるし、「さん」付けで呼ぶ雑渡さんを書きたかったのでそうしました。もちもち二個入りアイスの蓋を全部剥いた高校生に楊枝は使ってください僕手で食べるの慣れてるんでと当然のようにシェアされてしまい、“子どもの奢り”(後でまとめてお礼として返済したので奢りではない)を固辞するよりも、高校生ってついさっき言葉を交わした野郎にアイスシェアする生き物なのか????の混乱が強くてありがとうと貰うしかなかった雑渡さん。 蛇足なので書きませんでしたが、雑伊のお話なのでその後ひょっこり再会。その時は髪を切った姿の伊作さんで、背の高い雑渡さんが人混みの中から見つけて希望が叶ったんだなよかったなと思った瞬間、ふと顔を上げた伊作さんと目が合うわよ。
20240402:千両万両あの赤をみよ
六年生の身内ノリに巻き込まれる雑渡さんかわいいよねから浮かんだ冒頭。 から、紅の小ネタに接続するにあたり何故仙蔵がこんなに機嫌がよいのかを考えていって、六年を共に過ごした友人達に「化粧ができた」からではないかと話の筋を立てました。今は学園の中でも頼られる立場・強い立場の六年生も、卒業すれば新米の忍者である。優れた技量があれど、勤め先によってはそれが自分の身を守るすべとはならない可能性が高い。 学友達がどこかでこの世を去ったとしても六年連れ添ったようにはもう看取ってやれない。何なら敵対する場所で再会する可能性もある。ただ仲良くあればいいという「巣」から離れることを意識している十五歳達。 おまえアイツが好きなんじゃねえの、みたいな、他者の仲の良さを当然恋愛事だと見なして揶揄うのは個人的に好きではないのですが、この六年生達の密着度(言われた方がイヤならイヤと言えるし聞ける)なら有る会話かなあと思って入れました。 市場で行われた人助けについては、伊作の紅が剥げた結果だけが欲しかったので詳細な場面は省きました。読みづらい箇所かも。仙蔵のいう「うつくしい顔」は生きていることそのものを指す。会話の最後に出てくる「対う」「川」は彼岸と三途の川のこと。未練をたくさん抱えて果たし終えるまで長生きしてほしいと伊作は思っていても、現実も見えている子なので、友への願いの言い方を変えた。 井戸端で変装した役に成りきって会話するシークエンスが今作で一番えろいなと思っている。互いに正体を知っている中での演技。 利発で常に「最期」を頭に抱えているだろう仙蔵が、皆に化粧を施せて嬉しがっていることは、伊作にとってもとても嬉しいことだったので、マジで感謝のしるしとしてキスをした。雑伊の作文としても五人の投げキッスとは差をつけたかったので直接。洗濯の人に恨まれない場所に(でも洗濯の人=尊は組頭から詳細を聞き出して怒る)。雑渡さんにとってキスという行為は特別な意味を持たないし何なら調略の道具だが、伊作くんからされるなら別。伊作さんから特別扱いされてニコニコの雑渡さん。
20240823:月に明かり
いくさを控えた村での夜におしゃべりする六はの話。雑さんは登場しませんが雑伊です。六年生が六年生っぽい会話をするのが好き。留は同室がすごく強いプロ忍に二度も襲撃された挙句に骨を折ったと知ったら(やや間違った伝聞)多忙の隙を見つけて見舞いに行くに決まってんだろ、の気持ちの作文。映画オリジナルのあの晩、月が出ていたおかげで雑渡さんは恩人を傷つけることにならなくてラッキーだったよね。