舵を取る力が欲しい

yotu
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さいきん、巷では「生成AIにエンジニアの仕事は奪われてしまう」といった話題で持ち切りだ。IT業界の流れをあまり知らないような弊校の学生ですら、そのような話題を口にしている。

たしかに、いまの ChatGPT や Claude を見てみれば、これまで成立していた「即戦力のプログラマー」みたいな枠は必要なくなりそうだ。ちょっとしたスクリプトや CSS コードなら、数行のスクリプトを書くだけでかんたんに出力してくれるまでになった。GPTs みたいな専門領域をカバーした目的別の生成 AI も登場したし、予想が現実になるのもそう遠くない未来のように感じる。

思うに、淘汰されていくのは「調べるエンジニア」だと思っている。我々はたいていの IT 知識を Google からの検索で補うけれど、この「調べる」という動作は、本来かなりの無駄なはずだ。この無駄を AI が取り除いてくれるからこそ、期待が寄せられている。つまり、コーディングの多くの時間を調べることに費やすエンジニアほど、この潮流に飲まれる確率が高いと思っている。

「エンジニアの仕事は調べるのが8割」という話もある。当然、調べずにシステムのすべてのコードを書ける人間はいない。けれど、私たちだって単純な四則演算や文字列結合の方法を毎回調べたりしないはずだ。そういった知識は、コードを書いていくうちに長期記憶に保存された「地力」だといえる。そういうエンジニアにとっての「地力」が高い人こそ、今後の IT 業界で生き残っていきそうだなあと勝手に思っている。

もうひとつ、いわゆる上流工程(企画立案、設計)や保守運用にかかわる人々はこの影響を受けにくいと思っている。生成AI が担保してくれるのは限定的な知能労働であって、こういった不規則な対応が求められる分野では実用に値しない。コーディングの仕事がなくなっても、その外堀を埋めるのはまだまだ人間になりそうだ。