不倫だけど不倫じゃない!? 令嬢とお付きのラブコメ「18歳、新妻、不倫します。」(テレビドラマ版)

ゆー
·

推しが出ているドラマという理由で、かなり久々に恋愛ドラマを見た。

それが「18歳、新妻、不倫します。」(以下新妻不倫)だ。

なかなか衝撃的なタイトルだが、いわゆるドロドロした話ではなく、ラブコメだ。

元々あまりラブストーリーの類は見る方ではないのだが、この作品に関してはどハマりしてしまい、原作漫画も電子書籍で大人買いした次第だ。

今回はこの「新妻不倫」について紹介する。なお、今回紹介するのは、「ドラマ版」である。本作においては、「ドラマ版」未登場のキャラクターや設定、レーティングの都合でカット・改変されたと思われるシーンがあるため、この注釈を入れておく。

大きなネタバレは避けた紹介をするため、興味があったらぜひ見てほしい。


◆あらすじ

主人公、藤宮煌は、ある都市の一帯で絶大な権力を誇る大富豪の「三条グループ」会長の孫娘、明花のお付きをしながら、傘下の企業で営業として働いている。

明花が18歳の誕生日を迎え、まもなく高校も卒業という頃合いで、両親にお見合い結婚を勧められた明花がこれに反発。「三条」の家柄ゆえ仕方のないこととはいえ、明花は幼い頃から「恋愛」に憧れを抱いていた。そして、結婚を避ける道を画策した末に辿り着いたのは、煌との「不倫前提の偽装結婚」だった。

この結婚は、周囲には煌との恋愛結婚であると装い、実際には「明花が本当の恋愛をする=不倫」を目指すためのものである。しかし、煌には「秘めた思い」があった。

挙式当日、三条の企業をクビにされた男が会場に乗り込んできたところに明花が立ち向かい、顔に少し傷がついてしまう。そこに仕事を終えて駆けつけた煌が現れ、男を一網打尽にする。明花の顔の傷に気づいた煌は怒りを露わにすると、不思議がる明花に「俺の好きな女が傷つけられたんだから、怒って当然でしょ」と、恋心を打ち明けるのであった。

◆世界観

ファンタジーというほどではないにしろ、少々現実離れした世界観がポイント。

「三条グループ」はある都市の一帯を牛耳る大富豪であり、街には三条の傘下の企業がある。三条の人間が言うことは絶対であり、逆らえない。この地域は司法の干渉が及ばず、三条の人間が白といえば白になってしまう。というものだ。


次はキャラクター紹介に入る。ネタバレに配慮した表現のため、少々簡素になってしまうがご容赦いただきたい。カッコ内は、ドラマ版で演じた俳優である。

◆三条家

・藤宮煌(藤井流星)

高校生の頃、あることをきっかけに「三条グループ」会長に目をつけられ、明花のお付きになる。明花のことは幼い頃から知っており、明花にことあるごとに「ジジイ!」「うるさいなぁ!」と悪態をつかれながらも、いなしつつお付きを続けている。明花が18歳になった折に「偽装結婚」をする運びになるが、実際のところ煌は明花に恋心を抱いており、結婚後は少々強引な俺様ムーブで明花を振り向かせようとする。三条グループの企業で営業職に従事し、営業とお付きと「夫」の三足のわらじを履いている。

・三条明花(矢吹奈子)

「三条グループ」会長の孫娘で、町の人たちには「三条のおひい様(お姫様)」と呼ばれている。幼い頃から「恋愛」に憧れがあり、高校卒業後は大学進学を目指していたが、両親に急にお見合い結婚を迫られ全てが破綻。絶対に「恋愛」をしたい明花は、お付きの煌との「不倫前提の偽装結婚」を提案する。うまく結婚までこぎつけた明花だが、煌のまさかの告白とアプローチに大混乱な日々を送ることになってしまう。

・三条清十郎(野添義弘)

「三条グループ」会長で、明花の祖父。あることで目をつけた「藤宮煌」という少年を明花のお付きにした張本人。煌と明花の結婚を心から祝福している。

・三条周(小宮璃央)

明花のいとこ。明花の一つ下で、ウイーン在住のピアニスト。明花のことが好きで、昔から煌とソリが合わない。

◆周辺の人々

・岡本 J 真弓(小林涼子)

煌の学生時代の恋人。煌が結婚すると聞いて、一時は明花に嫉妬心を膨らませるが、その後2人の良き理解者になる。宝飾店のエリアマネージャーを務めており、話を聞く代わりに・・・と明花にジュエリーの購入を迫ることもある。

出演者はこれ以外も存在するが、ネタバレに抵触するため、伏せる。


◆見どころ(軽いネタバレを含む)

1.どこまでも純粋な明花と俺様な煌

恋に恋する女の子というワードがぴったりなのが明花。「恋がしたい!」と奮闘する様子は見ていて微笑ましい。そしてそんな明花に「俺あんたのこと好きなんだけどね」とぐいぐい迫り、明花のデートにも「俺の女だから」と颯爽と現れ、明花を連れ去っていく煌。近年あまり俺様って聞かないような気がするのだが・・・さてどうなのか。

2.初な明花に翻弄され、たじたじになる煌と一途な煌

紆余曲折あって明花と煌は正式に付き合うことになるのだが、何せ明花はこれが初めての恋愛。ふわふわキラキラと奔放に愛情をぶつけ、今までは見られなかったような明花の可愛い姿に、これまでの思いが溢れ、がっつきたくなる煌。しかし、「相手は初めてなんだから」と必死に衝動を理性で抑え込む、少し不憫な煌も見どころ。また、正式に付き合い始めてからは、俺様が成りを潜め、ただ一途に明花を愛する煌の姿もめちゃくちゃに良い。

3.煌は何故「三条」に呼ばれ、明花のお付きになったのか

高校生で「三条」に入った時から、煌には身寄りがなかった。いわば、会長は煌のもう1人の親とも言える存在である。ではそれ以前、一体煌はどこで暮らし、何をしていたのか。そして、何故会長は煌を明花のお付きにしたのか。物語後半でのある人物との出会いをきっかけに煌の過去が明かされていく。

4.主演2人のお芝居がとにかく素晴らしい

現役アイドルと元アイドルという関係性の2人だが、何の違和感もなくスルッと物語が入ってきたのは2人の力量といえよう。矢吹氏は元子役だそうで、可愛いポイントはもちろん、凄みのあるシーン、切ないシーンも抜群の納得の演技力の高さ。もっとお芝居やってほしい。

藤井氏は以前に「正しいロックバンドの作り方」というドラマを視聴した際に、演技力の高さに驚いた。あまりにも居住いが自然で「演じている」という感じがしないのである。今作でも「藤井流星」が演じている「藤宮煌」がいるのではなく、「藤宮煌」がそこに存在している。そんな感じ。後半の煌の生い立ちが明らかになる段階ではさらにその真価を発揮してくれるので、是非注目してほしい。ちなみに私の一番好きなシーンは大きなネタバレになってしまうため、言えないのがもどかしい。


ネタバレをせずにこの作品を紹介するのがこんなに難しいとは正直思っていなかったが、少しでも「新妻不倫」の魅力が伝わっていれば幸いである。

なおこのドラマは、U-NEXT、lemino、hulu、Netflix、DMM TVで配信されている。お使いのサービスがあれば、是非。