上司達出張二日目。やっぱりラストは私、というか私と同僚。今日も待ってくれている。
ご飯に誘われてはいないのに明らかに待っているから、何時まで、と言って作業した。
隣の部署はまだ人がいる。二日連続で二人でそこを通るのも微妙で、それを同僚も察していて。私にエレベーターを指差し、同僚は隣の部署に声をかけて階段で下へ降りた。
また、隣の駅まで歩いた。
前日に教えた私が好きなバンドの曲を聞いてくれていて、好きな漫画のアニメも見てくれていた。
バンドの曲は、知っていたものもあったらしい。
その日はフードコートの卵料理屋さんにした。
なお、前日のサイゼはごちそうしてくれていた。
またごちそうされそうになったので、毎日はだめですと千円札を突きつけたら、受け取りにくいと笑いながらも受け取ってくれた。
土日の予定の都合を聞かれた。
私ははぐらかしたり誤魔化すのがとても苦手で、答えにくいことは、「言えない」という答えか、そのまま話すか、になる。
土日に予定が詰まっているわけではない。けど、しばらくは極力入れずに自宅で過ごしたかった。
趣味の二次創作の原稿のために。
土日にみっちりやらないととても間に合わないのだ。
でも、『予定はないけど家にいたいから土日は無理』とも言えない。ライン交換したすぐあとに、休日に誘っても良いとも答えている。
この先全ての土日の予定が埋まっている、というのも、遠回しに誘うなと拒否しているようにも取れるかもしれない。
迷った末に、『同人誌って知ってますか』と切り出した。
同僚は知っていた。どの程度知っているのかはわからないが、「いわゆる薄い本」とまで彼の口から出てきた。
書く方をやっていること、近々イベントがあってそのために原稿があること、だから平日の帰りは行けるけど土日は極力空けておきたい、という話をした。
同僚は引くこともせず、わかってくれた。
俺は帰ってもゲームするだけだし、そうやってできることがあるのはすごい、と言うような反応だった。
こんなにすんなり、受け入れられるとも思ってなくて驚いたけど、ごまかしたりしなくてよくて安心した。
これまでにも何度かイベントに出たこと、何冊くらい本を作ったのか、など、話した。
二次創作と呼ばれるものだということまでは説明したが、流石にメインのキャラクターやBLであることまでは言わなかった。
また20時前にはフードコートを出て、駅に向かった。
駅のホームでは少し時間があって、なんとなくうまく話せず少し無言の時間も合った。
電車が来て、別れぎわ、たまたまかもしれないけど、少しだけ指先がかすめた。