嫌な気分じゃないと書けないのか貴様は

唯喰
·

訪れた春に喜んでいたら2か月弱経っていた。心の発露には何らかの闇のエネルギーというか病みのエネルギーが必要だという話はよく聞くが本当かもしれない。ある程度満ち足りていたら吐き出す必要もないわけだから。そういう意味で自分は表現者に向いていないのだろう。受け取り手の事を考えられないから作品にならず、老廃物しか出せない。では意識を変えたらどうかというと、変えられない。インターネットの大衆が明確に嫌いになってしまったので。

自覚したのはコロナからか。やれマスクだのワクチンだの喧々諤々から上手く目を離せなくなって「あれ?思ったより世の中の大人って頭悪くね?」と思ってしまい、TwitterがXに代わるあたりのタイミングで、より顕著にそれを認識するようになってしまった。他人に何かを分かってもらおうという欲求が消え失せた。尤も他人に評価を求めるようなコンテンツを提供できるだけのリソースも、評価を受け取る度胸も無いが。

……まてよ?

そもSNSで見かけるような、声がでかいだけの思慮のないアノニマスはごく一部であり、大多数は姿の見えないread-onlyであろうにもかからわず、勝手に大衆に絶望する視野狭窄に陥ってしまうほど自分が想像力を欠いてしまっただけかもしれない。

これを老いと呼ぶは容易いが、より適切なのは「愚か」だろうか。

自分の人間性の矮小さを確認し、今もなお作り出すことを止めないあらゆる表現者に対する敬意を新たにした。