友情についてのドキュメンタリーを観た。猿の研究だと、猿は「狭くて深い」「広くて浅い」どちらの戦略もとる猿がいて、いずれも有効だと。ただ、災害で環境が変わったら、「広くて浅い」を採択する猿が急に増えた。それは災害によって減った日除けを確保すべく交友関係を広げることが得策になったからだと。あと、人の研究では「軽い友達になるには40時間必要、良い友達になるには200時間必要」らしい。
子どもの頃よく言われた「友達は多い方がいいぞ」という教訓は、生存戦略という意味では正しい。自由とは「依存先が多い」ことだ、という言い回しもその通りだと思う。でも、「自分の心が何を求めているか」と「生存戦略」は別物であり、分けて考えるべきだ、というのが私の考えだ。それなりに長い人生を生きてきた経験で得た数少ない私の考えのひとつでもある。
別の話に移る。
昔から「職人」に憧れがあった。「職人」とはある何かを継続し、時間をかけなければ得られない技術を身につけている存在だけれど、それだけでは職人ではないのかもしれない、とふと思った。自分が職人をする「対象」の100年後を考える視座をもっている、それも大事なんじゃないかと。長い目をもった存在が、職人なんじゃないか。私は、職人の手だけじゃなく、その長い目に憧れているのかもしれない。