自分の心を知らない

王城の夕紀
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よい一日には、書くことが思い浮かばない。

そんな法則がある気がする。よい一日とは、すきまなく自分がぴったり満たされるようなもので、書くとは、足りないか、溢れているか、いずれかを吐き出す営みなのかもしれない。

自分の心が何をしたがっているか、を知りさえすれば満たされる。問題は、満たされていないことではなく、自分の心の要望を精確に認識できていないことの方にあるのではないか、とさえ思える。自分の心を知るために一番いいのが、他人である。他人には、本も含まれる。本を読む営みには、そういう意味もある。