書き続けること

王城の夕紀
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文章を定期的に書きたい。ひとつは文筋を鍛えるために。ひとつはどの程度の文章を自分は書きうるかの感覚を得るため。できれば毎日したいけど、無理な気がする。どんなスタイルで書くか、まとまった文章をひとつ書くのか、いくつかを箇条書きのように書き散らすか、その辺も決めない方が良い気がするし、しばらく継続できたら自然とある方向に落ち着いていくだろう。

小説家になって初めて気づいたことはきっといろいろあるが、それまでまったく思いつきもしなかったという意味で筆頭にあがるのは、「それまでに書いた自作が埋もれずに読まれ続けていくためにできる最大のことは、新しい作品を書き続けることだ」という気づきになる。新作が出続けることが、その小説家を思い出させ、旧作を新たに読む人を生む。バンドが解散する哀しみは、そのバンドが生んだ楽曲は演奏されなくなる哀しみであるように。鴻上尚史は第三舞台で「恋人が別れると、二人が経験した思い出は二度と語られなくなる。そんな思い出がどれだけたくさんあるのか」といったことを書いていた。