本は、個室

王城の夕紀
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本を読めないときに、いい方法がある。自分がしたい速さよりも、ゆっくり読もうとすることだ。最初の一文だけ読もうというくらいの気持ちで、ゆっくりちゃんと読む。

読書は、著者との対話であり、自分との対話である。インターネット閲覧は、そういう感覚は薄いように思う。対話ではない。一方的に情報が来る、あるいはイベントを見る感覚に近い。何が違うか。インターネットは開かれていて、方々につながっており、いままさに動いている場である。本は閉じていて、そこで完結していて、そこにはひとりしかいない。インターネットは広場であり、本は個室である。そこが違う。ささいな違いかもしれないが、じつは大きな、決定的な違いなのかもしれない。