結婚記念日だった。ここ何年かはコロナで行けなかった「ちゃんとした」外食に、相方と久しぶりに行くことができた。外食を解禁していないわけではないが、うどんかフードコート、たまーにランチに定食ぐらいしか行っていなかったから。
ここで言う「ちゃんとした」は、いわゆるコース料理のことである。眼の前にきれいに並んでいるフォークとナイフを見て、「あれ、どっちから取るんだっけ」と一瞬思うぐらいには長いこと行っていなかった。あれ、忘れるよね(忘れません)。
来月迎える客人を連れてくるにあたり、下見の意味もあった。時間帯は違うのでランチになるが、個室は使えるのかどうかとか、どんなメニューがあるかとか。数年前来たときには少ないスタッフが孤軍奮闘しており、お客さん自体がだいぶ減っていたようだったし、レジの前でクドクドと文句を言う客に待たされてイラッとしたけれども、今回お店は満席でとても流行っていて、和やかな雰囲気だったのはよかったと思う。持ち直したんだなあと。だが、それに見合うだけのスタッフがやっぱり足りないな、という印象ではあった。
少し離れたテーブルでは、若いお父さんとお母さん、小学生ぐらいの男の子がふたり。お母さんがニコニコしながら小さな箱を開けていて、ああこれは家族でお母さんのお誕生会に来て、この場でプレゼントや手紙を渡しているんだなあ、とこちらもニコニコしながら見ていた。男の子たちは、お母さんの顔を覗き込むようにあっちへいったりこっちへいったりして可愛らしい。まさに、「幸せのおすそ分け」してもらった気分になった。ああ、子たちもこんな年頃だったときがあったなあ。まあ、我が家は毎回プレゼントを渡して親を喜ばすようなタイプの子たちではなかったけれども、ちゃんと仲は良かったしそこそこいい家族だったんじゃないか、と思っている。ダメダメなお母さんではあったけどね。
そして、来月来る客人は、新しく家族になる予定の人である。