ワイルドアームズ4は、僕が初めて遊んだ本格的なJRPGである。
お世辞にも王道とは言いがたい内容で、世間的にはシリーズファンから見ても不評扱いを受けやすい問題作だった。
どこを取っても癖が強いので語り出すとキリがないが、今回は戦闘……とりわけ敵の個性について語ってみる。
端的に言うと、ブギーポップが大好きな人にぶっ刺さる異能バトルが頻発する。
主人公サイドにこれといった異能はないが、敵は異能のバーゲンセールだ。タイトルにある空間歪曲も、大まじめな顔で敵が使ってくる技のひとつである。
ワイルドアームズ4は、今までのドラクエ風の戦闘から、マス目を移動する戦闘に一新した。
かといってSRPGのように戦場を格子状に区切ったものではなく、六角形状に連なるマス目を移動しながら効率よく敵を倒していく陣取り合戦のようなシステムだ。
マスの扱いが特殊で、敵は敵同士、味方は味方同士で同じマスに入ることができる。
技のほぼ全てがマスを対象にして発動するので、同じマスに味方全員が集まればヒールが全員に行き渡るし、味方が散らばれば敵の攻撃を全員が受けてしまうリスクを軽減できる。もちろん、敵に対しても同様のことが言える。
この、マス目を生かしたギミックの戦闘が多いのが楽しかった。
先ほどの空間歪曲は、自分の前に空間を歪曲させた特殊なフィールドを出現させることで、自身のダメージを全て肩代わりさせてしまうというもの。空間には耐久力があるので壊せば本体にダメージが行くが、ターンが回ってきた段階ですぐに再生成されてしまうし、中々に固いのでまともに戦うとかなりの長期戦になる。
しかし、地割れや大津波など、全てのマスにダメージを与える大技を使うと、肩代わりも虚しく本体にダイレクトアタックが可能になる。
他にも「時を止めることで、被弾する直前に別のマスに歩いて回避する」というトンデモなボスもいた。能力名は「絶対の彼方(システム・クロノス)」だ。
こちらが攻撃を仕掛けても、ザ・ワールドよろしく時を止めてしまい、悠々と隣のマスに歩いて完全に無効化してしまう。
こちらも同様に全体攻撃で問題なく攻撃できるが、他にも味方全員で敵を取り囲み、移動できるマスを無くすという攻略法もある。
「抑えられない砲火衝動(イナーシャルキャンセラー)」という異能を使うボスも楽しい。ルビの振り方が既にカッケェ。
詳しい原理は僕もよく分からないが、巨大な重火器を撃つ反動を特殊能力で無効化することで、高い火力を持ちながら連続行動が可能とのことだ。
基本的に1回きりで使い捨てのボスが多い中、こいつとはストーリー全体を通して何度も再戦することになり、その度に連続行動の回数が増えていくインフレを起こす。
最終的には4連続行動を畳み掛けてくるので、運が悪いと何も出来ずに全滅なんてことも珍しくない。
対処法としては、行動回数が多いことを逆手に取って毒ダメージで追い込む手が有効。毒はマス単位でしか効かないので、シャットアウトという技で相手の移動を定期的に封じる必要がある。
しかし、インフレを起こしているのは味方も同じ。ゲージを消費することでこちらも最大4連続行動が可能な高火力キャラが存在する。
別のキャラは「臆病なため物理攻撃をほぼ完全にかわせるほど回避率が高い」という意味不明な特性があるので、「火力キャラはガードで待機、回避キャラが攻撃をかわして回避ボーナスでゲージを貯めつつ火力キャラをアイテムで回復、ゲージが溜まったら全消費してボコボコにする。他のキャラはヘイトが散って邪魔なので死なせとく」みたいなブラックな戦い方もできる。
言い忘れていたが、ワイルドアームズ4は戦闘バランスが完全に崩壊している。
中学生だった当時の僕は比較対象がないので実感がなかったが、今思うと相当にヘンテコなバランスをしていた。
ヒロインの防御が低すぎて、運が悪いとザコ戦ですら何もできずに戦闘不能になる可能性がある。
かたや魔法防御力はアホみたいに高く、皆が瀕死になる中で一人だけ0ダメージなんてこともある。
これは、当初はワイルドアームズのアニメが放送される予定であったため、メディアミックスとしてゲームも作られていたところが、急遽アニメが中止となり開発期間が半分まで短縮されたためだと言われている。
そのため、4は他と比べて裏設定や極端なゲームバランスがかなり多く、異能バトルに振り切ったのも「能力がバレたらそこで終わり」な欠点を補う意図があったのかもしれない。
時を止める能力を何度も使われたところで、一度ネタが分かってしまえば作業にしかならない。
例外として、連続行動に関しては段々と数を増すことでインフレの緊迫感を味わうことができるので、上手いやり方だと思う。
ちなみに、僕が好きな異能は「闇に囁く声(ダークウィスパー)」だ。
直球ストレートな厨二病でこれもまた痺れる。
これは、味方4人の幻影(本体の不安を具現化したものらしい)を召喚する異能で、幻影を攻撃すると対応する本体にダメージがいくという実に陰湿な能力だ。
これもしっかりと攻略法がある。単なる幻影ではなく、対応する本体の不安を具現化したものというところが鍵で、気になる人は遊んで確かめてみてほしい。
レターで答えを書いてもいいが、返信できないので答え合わせができないことは先に断っておく。