ドラゴンズドグマ2が発売して、もうすぐ3ヶ月が経とうとしている。
発売直後から遊び倒し、本作のレビューや感想をたくさん記事にしてきた。
しかし、アンチやエアプの声に反抗するかのように書いてしまったり、遊んでいる最中でハイになって冷静な評価がしづらかったのは否めない。
再度改めて、このゲームを忖度せずに評価してみようと思う。
予想外で、期待値未満
端的に言うと「予想していたものではなかったし、期待していたほどでもなかった」という評価だ。
色々思うところはあるのだが、まず前提として、もう1ヶ月近く本作を起動すらしていないことから、前作ほど熱中できなかったことは事実である。
前作は、ブランク期間こそあれど12年も遊んだ。残念ながら、本作はその水準に遠く及んでいない。
しかし、クソゲーでもないし、凡ゲーでもない。
強いて言うなら、ガッカリゲーだろうか。
求めていたものでは無かった。
確かに、進化はしている。ドグマらしさもたくさんある。
しかし、失われてしまった良さや、引き継がなくてよかったもの、そして必要なかった新要素が目立ち、結果としてゲームとしての寿命は短かった。
これでよかったのか?
なぜそう感じたかの理由を書くと、文字数があまりに膨れ上がるので割愛する。
それよりも気になるのが、「カプコンとしてはこれで良かったのか?」ということである。
確かに、250万本も売れはした。しかしその後の発表はなく、Steamのレビューも依然として賛否両論のまま。
それでも、コアなファンを強く惹き付ける癖の強いゲームならまだ良かったが、残念ながらそうではない。
過去記事を読めば分かる通り、僕はかなり狂信的なドラゴンズドグマ信者だ。
その愛と信仰心をもってしても、本作を手放しで褒めることは難しい。
シリーズを誤解したエアプが叩き、理解度の浅いにわかが阿鼻叫喚する。それはシリーズ恒例だ。
しかし、信者から見ても微妙なのであれば、一体誰に向けたゲームなのだろうか。
一応、婚約者を始め本作が初めてのドラゴンズドグマとなる人からは、好意的な声をちらほらと聞くことから、新規開拓を狙った事実上のリブート作という見方もできないことはない。
しかし、そこまで数が多くなさそうな現状を考えると、果たしてカプコンとしてはこれで良かったのだろうかという疑問が残る。
本当にこれでいいのか、カプコン
そして、ドラゴンズドグマに限った話ではないのだが、現状のカプコンそのものに僕は緩やかな不満を抱いている。
現状というか、具体的にはバイオハザード7以降だから、もう7年近くも抱いていることになるが……。
なんの不満かというと、「過剰なリアリティの追求」と「コストカット」である。
バイオハザード7
バイオハザード8
デビルメイクライ5
これら3作は、実在する役者の顔をキャプチャしたもの(を改変した3Dモデル)を用いている。
一からフルスクラッチで作った3Dモデルと違い、実際の人間をベースにした作りには独特の不気味さがある。
俗に言う「不気味の谷」ともまた異なる、何とも形容しがたい、モデラーならそうは作らないだろうという歪さ、不可解さを抱えてる。
バイオハザードならホラーゲームなので、その不可解さもプラスに作用するが、愛着は湧きにくい。
また、デビルメイクライに至っては本来なら完全にヒロイックな作風のため、フォトリアルなキャラモデルが大変不格好に見えて仕方がない。
はっきりいって、あんなに不細工な5が許されるのに、当時にしては前衛的すぎたDmCが未だに許されない理由が理解不能だ。
確かに、リアルな見た目にすればリッチに見えるし、フェイスキャプチャーなら時短できる。
しかし、デビルメイクライのような非現実的なゲームには全くもって不要なリアリズムだ。
そしてもうひとつ、物理演算などを駆使したリアルに見えるモーションにも大きな不満がある。
特にこれはRE2以降で見られる。
RE2は、元がアクション性の低いバイオハザードということもあって、リアルすぎて不便に思えるモーションもフレーバーとしてプラスに働いた。
しかし、RE2が業界全体でも類を見ないほどに爆売れして大絶賛されてしまった為、カプコンも味をしめてしまった。
アクション性が高まったRE4でも同じ操作性を導入したせいで、アクションとしてのストレスが高まり、攻略性も低下。
そして、ドラゴンズドグマ2でも例に漏れず物理演算を活用したモッサリアクションが導入された。
確かに、現実世界なら僅かな段差でも蹴つまずくし、大技の前に必ず分かりやすい予備動作をする生き物はいないし、敵の振りかぶり攻撃に対しワンテンポ遅れてから潜り込めば回避できるといった戦い方が通用し続ける場面も存在しない。
それらは、現実世界でやるにはあまりに機械的すぎるからだ。
しかし、バイオハザードも、デビルメイクライも、ドラゴンズドグマも、現実世界ではなくゲームである。
そして、ゲームとは決められたルールに従って遊ぶことで楽しくなるものだ。
緩慢で再現性の低いモーションにした結果、マンネリ感がなくなってリアルに見えるようにはなったが、代わりにモーションを見ても明確なルールが分からなくなった。
機械的で、コミカルで、大袈裟なモーションは、リアリティはない。
しかし、ルールが明確で、刺激的だ。
マイクラをぼこぼこしたボクセルではなく、リアルで滑らかな地形にすればリアリティは増すが、ジャンプできるのか、手が届くのか、どこまでがバイオームなのかといったルールは分からなくなる。
だからこそ、マイクラをオマージュした数々のリアリティのある見た目のゲームは、本家を超えられないどころか、長く愛されもしないのだ。
再現性がなければ短期的なマンネリ感は防げるが、ルールのないゲームには試行錯誤が生まれず、結局のところ飽きが早まる。
それで、いいのか?
バイオハザードとドラゴンズドグマに限った話とは言えど、今のカプコンが作っているのは、ゲームというよりもシミュレータに寄せ始めている。
ストリートファイターといったガチガチに競技性のあるものや、デビルメイクライといった格ゲー顔負けのアクション性も大きな魅力であるものであれば、まだルールが明確なアクションをしてくれている。
が、他はそうではなくなった。少なくとも、7年前からだ。
きっと、それでいいのだろう。現に売上は好調だし、ビジネスとして間違っていない。
しかし、バイオハザードといい、ドラゴンズドグマといい、デビルメイクライといい、僕が熱中してきたカプコンのゲームには、皆ルールが存在していた。
言葉で説明されているわけではない。
手にとって遊べば、そのうち体が勝手に覚えるような心地よいルールだ。
バイオハザード5なんて、銃を構えてからレーザーサイトが出始めるコンマ何秒すら終える前にヘッドショットが決められるほど、操作感やモーションが統一されている。
黒ウェスカーが携行しているマグナム、S&W M500で処刑マジニを体術〆で仕留めたい場合、操作タイプAなら□ボタンを押しっぱなしで接近し、脚→頭の順に撃ってから再度□ボタンを押し直して体術を発動すればいい。今でもサラサラ言えるルールだ。
そのようなルールを、時に自分で編み出し、時にコミュニティで共有しあいながら攻略していく。
当時のカプコンのゲームには、攻略性があった。
今は、ただ浸って終わりだ。そこにルールが、計算され尽くした様式美が存在しない。
汎用的な物理演算に投げっぱなしにしてルールを放棄し、見た目上のリアリティで寿命を誤魔化しているように感じられる。
手抜きと言いたいわけではない。コストカットとしては優秀だが、お利口さんすぎて刺激が足りないのだ。
かろうじてモンハンはまだルールが明確なアクションをしているが、果たして最新作でどうなるだろうか。
僕はモンハンのファンでは無いので、冷たい言い方をするならどうなろうとお構いなしだが、願わくばルールのあるアクションにして貰えると、僕は長く楽しめる。
まとめ
おそらく、僕の話はあまり共感してもらえない。
ただの懐古厨の老害であり、カプコンがわざわざ古めかしいゲーム的な作風に逆戻りするとは考えにくい。
だから、不満なのである。
自分の作るゲームで再現したいが、僕に当時の変態的な作り込みを見せる病的なカプコンの職人芸を会得できるとも思えない。
なんとも嘆かわしい。