ラストが美しい映画

弓猫
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俳優の柄本時生さんは、映画のラストシーンだけを何度も繰り返し見ることがあるという。

すごくよく分かる。

有終の美を飾るラストシーンは、とても美しい(重複表現)

ラストシーンが好きな映画はたくさんあるが、中でも特に気に入っているものをいくつか、(可能な限りネタバレを避けて)紹介していく。

セブン

七つの大罪になぞらえた連続殺人事件の謎を追う、二人の刑事の話。

オチが衝撃的な鬱映画として絶対に名が挙がる筆頭作で、もはや説明不要だ。

わざわざこれを載せるか迷ったが、僕が映画にのめり込むきっかけとなった作品なので紹介した。

ちなみに諸説あるが、僕はバッドエンドではないと思っている。

アウトレイジ・ビヨンド

北野武監督が主演を務める、仁義なきヤクザ映画の二作目。

こちらも、説明不要な有名作。あそこで終わるとは誰も予想できなかっただろう。最終章も嫌いではないが、ビヨンドで終わらせたほうが美しかったのではないかと思う。

トゥルーマン・ショー

生まれた時から人生の全てを生中継されている男の物語。

尺的にどうあがいても逆転不可能な状況から、たった一言で全てを覆す大どんでん返しには衝撃を受けた。

物作りに携わる人間たるもの、一度は読み手をあっと言わせる脚本が書きたいと思っているが、セリフで魅せる終わり方でこれを超える作品には未だに出会えていない。

アンブレイカブル

列車事故でただ一人生き残った男が、その謎に迫る物語。

監督はシックス・センスで有名なシャマラン。初めて見た時はオチの衝撃で咽び泣いてしまった。

巧妙にミスリードが張り巡らされており、今見ても「なぜこんな簡単なカラクリに気付けなかったのだろう」と思わされる。

個人的に好きな映画TOP5に入るお気に入りだが、いつものシャマランよろしく激しく人を選ぶため、あまり強くおすすめはできない。

リミット

恐らく今回紹介する中で最もマイナーな映画。

生きたまま棺に閉じ込められ埋葬されてしまった男の脱出劇。

棺のシーンしかなく、名探偵ピカチュウでお馴染みのライアン・レイノルズ以外は声のみの出演という徹底ぶりだ。

脱出できるかどうかに関しては薄々予想がつくが、そのオチへの着地のさせ方が非常に悪質。

シンプルながら感情の揺さぶり方が巧みで、他と同じく何度もラストシーンを見返した映画のひとつ。

キューブ

立方体の部屋がどこまでも連なる空間から脱出を試みる老若男女の話。

たまに即死トラップ付きの部屋がある。

ワンシチュエーションスリラーの金字塔として名高く、数年前に菅田将暉主演でリメイクされた(そちらは見る価値なし)。

誰が脱出できるのか。そもそも出口はあるのか。そして、なぜこんな空間に閉じ込められたのか。

この作品が金字塔と言われるのは、そのどれもに最適解と言えるほどの答えを提示してしまったからだ。

もうワンシチュエーションでこれを超えるのは不可能なのではないかとすら思えてくる。

ラストの何とも言えない、虚しさの中に僅かな希望が見えるような音楽と画が最高に好きだ。

ノーカントリー

なんと説明すればいいのだろう。保安官と殺人鬼を題材にした暴力映画だ。

これだけだと派手な映画に聞こえるが、かなり静かだ。

どれくらい静かかと言うと、劇中で一切BGMが流れないほどだ。

派手な銃撃戦もほとんどなく、グロシーンも僕が覚えている限りでは無い。にも関わらず、暴力映画の筆頭として名高いという不思議な存在である。

詳しく語るとキリがないのでラストシーンに言及すると、なんというか、「え?これで終わり?」と拍子抜けするようなものだった。

そのあまりの唐突さに最初は理解が及ばず、何度も咀嚼するうちにぼんやりと内容が見えてきた。

こんな終わり方もあるんだと新鮮な気分になった映画のひとつ。

メメント

もうひとつ、とんでもないタイミングで終わる映画として思い出したのがこれ。

10分間しか記憶が持たない前向性健忘症の男が、妻殺しの犯人を追うサスペンスだ。

もうネタバレでも何でもないので書くが、最後のセリフは「さて、どこだっけ?」だ。

あまりに拍子抜けした終わり方である。

これも物語を追っていくと、非常に深い一言であることが分かる。

呆気なく終わるからこそ、美化のない物悲しい物語に一役買っており、大好きなラストシーンのひとつだ。

永遠の0

海軍一の臆病者と称された祖父が、なぜ特攻を志願したのかを探る話。

ゴジラ-1.0の山崎貴監督作。戦時中の祖父と現代の孫の2つの視点で物語が展開する。

ラストシーンがとても難解で、批評家の間でも解釈が大きく割れている。

僕も初見ではかなり戸惑ってしまったが、繰り返し見るうちに何となく自分の中で答えが見つかったような気がする。

またオチではないのだが、山崎貴監督がVFXの技術力で名高い白組所属ということもあり、VFX描写に妥協がない。

特に終盤のあるシーンでは、戦時中と現代という絶対に交わらない2人の交錯を描くため、かなり思い切ったVFXの使い方をしている。

VFXはよく「現実味がない」「いかにもCGで作り物臭がする」と言われるが、敢えて現実離れしたシーンをVFXで描くことで「これは現実に起きた映像ではないが、確かに2人が見た景色である」ということを訴えかけている。

とても効果的な使い方で、今でもよく見返すお気に入りシーンのひとつだ。

まとめ

きりがないのでここまでにする。

オチが面白いおすすめの映画があったら、ネタバレを伏せた上で教えてください。

@yumineko
個人ゲーム開発者。開発の進捗は ci-en.dlsite.com/creator/20437 にて