腕時計、車、豪華な住まいは、今も資本主義の上位を目指す男たちのステータスだ。
僕はそこまでギラついているわけではないが、かといって「今どき腕時計に金をかけるなんて」とブランド志向を冷笑するつもりもなく、むしろどちらかというと憧憬を抱いているくちである。
僕は、長らく腕時計をつけていない。ひとえに、お金に余裕がないからだ。しかし、僕が尊敬する年上の男性に、こう言われた。
「ただ漠然と『高い腕時計がほしい』ではなく、どのブランドの、どの商品がいいのかを決める。各パーツのカスタマイズも様々なので、実際に店舗に足を運び、試着してもらって実感を得て、明確な目標にする。それをすると、しない時よりも着実に、その目標へ近づいていくよ」
なるほど。確かに僕はなにかにつけて「ゲームが作りたい」「金持ちになりたい」といった抽象的な目標しか持たず、日々を漫然と消費するばかりで、結局その目標すらも失念してしまうことが多々あった。
これを機に、ほしい腕時計を見定めてみよう。
そして、いろいろなブランドを調べること数日。オメガの腕時計がほしいと思うに至った。
インテリで派手すぎず、しかし地味すぎることもなくしっかりと主張してくるスマートなデザイン。耐磁性が高くデスクワーク向きという点も僕のワークスタイルと一致しているし、特に営業不振や不祥事をやらかした痕跡もない。
ロレックスと比較して、ブランド名の印象が強すぎないと言うか、有名所でありながらそこまで成金感がしない慎ましさも好きだ。
いくつか気になる時計を公式サイトで見漁り、これがいいかもしれないと思い、価格を見てみた。
100万円以上もした。
オメガ高い。