夫が出社から在宅勤務に切り替わったのでチャンスとばかりに都内へ(夫在宅の日は犬の留守番を気にせず出かけられる)。父の墓参りが主目的だが、せっかく交通費をかけて行くのだから他にも寄り道したい箇所をピックアップして遠足気分。
大輪のガーベラ10本を買い、住職さんのご家族に樒(しきび)と桶のお水を貰ってお参り。お父さん、梅雨前の一番気持ちいい季節だよ。そちらはいかがですか。
お寺の近くにある亀戸天神はこの時期に藤まつりを開催している。曇天の湿気、藤の花の匂い、屋台の食べ物の匂い、人のざわめきが立ち込めてめまいがしそうなほど。遠くから少しだけ写真を撮ったらかーえろ、と思っていたのだが、猿……猿がいるーーー?
神社に猿ーーー?????
ショーの終盤だけ見ることができた。ハスキーボイスのお姉さんと猿の掛け合い。
お姉さんがご祝儀のお願いについて話しはじめたら、おもむろに財布を開けてお札を弄ぶ猿。こんなことまでも日々訓練して芸として仕込まれているのかと思うと「可愛い」よりもっと先に「心苦しい」が来てしまう。
クライマックス、不安定なサーフボードのような板の上でバランスをとるお姉さんに猿がしがみつき、トトトッ!とてっぺんまで昇りつめ逆立ち。
「これね、皆さんが思っている以上に難しいです。どうかのちほどご祝儀をお願いいたします」とお姉さんが声を絞る。
高く不安定な場所で逆立ちしながら遠い目をする猿を見てじわっと涙が出た。これはなんの涙なんだろう。感動?同情?ひょっとして、怒り?
動物と日々ともに過ごして芸を仕込むその数十年の懸命さをだれも否定できないよなーと思うと同時に、猿の「ほんとうの幸せ」って何なんだろうと考えてしまったり。猿に「何してるときが一番幸せ?」って聞いてみたいな。その答えの通りに過ごせていることを祈りつつ、財布の中の小銭をすべてお姉さんに渡して神社をあとにした。
今日の歩数。15,564歩。