東山彰良 僕が殺した人と僕を殺した人
文藝春秋 2017年
読書メモ✍️
兄が乗っていた偉士牌ヴェスパp14
(龍山寺を参ったとき)ぼくとジェイとアガンはそれぞれ劉備、関羽、張飛になったつもりで『三国志』の桃園決義の真似事をした。「我ら三人ら同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、同年、同月、同日に死せんことを願わん」という例のあれだ。義が結ばれると、ぼくたちは顔を見あわせてにやにや笑った。指をちょこっと切っておたがいの血をすすろうという意見も出たが、けっきょくそれはうやむやになった。p62
ぼくたちは紅樓劇院のまえで踊ろうとした。……見物人に襲われてしまった。……
新公園(現在の二二八和平公園)と紅樓のあたりが同性愛者のたまり場だということは知っていたけど、同性愛がなんなのかはよく知らなかった。大人たちからはとにかく紅樓には近づくなと言われていたので、ぼくたちはいっぱしの大人になったつもりで敢えてそこを晴れ舞台に決めたのだった。p81
(龍山寺で占いをする場面)アガンの発案でほんとうにジェイをぶちのめしてよいものかを神仏に問うてみることにした。……ぼくたちは作法にのっとって、つまり筊ポエを両手で捧げ持ち、名前、住所、生年月日を包み隠さず関公にお伝えした。p123
おれはおまえの冤親債主ユエンチンザイジュウなのさ。前世の貸しをかえしてもらっただけなんだぜ
阿宏アホンp151
綠帽子(「緑の帽子をかぶる」とは男性が妻に浮気をされること)p152
アガンの愚痴)……いまはマンションの最上階に住んでいて、母親の男が屋上に加蓋(ジャアガイ)、つまり違法建て増しをしようとしていること。p160