「グノーシア」を遊ぶ。

ゆる瀬/墓所
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公開:2025/12/18

【グノーシアをプレイ、そしてクリア】

とても素晴らしいゲーム体験をした。

本当に良かった。

まず、シナリオのクオリティが非常に高く、登場するキャラクターも魅力的。

美しいイラストとBGMも世界観をうまく支えており、作品全体の雰囲気が完成されていると感じた。

ゲームのシステム自体も、人狼ゲームは気になるけど対人戦はちょっと……という自分みたいな人間には、お誂え向きな内容で嬉しい。

現在アニメ版が放送中とのこと。

そちらも後日チェックしたいと思う。

以下、詳細な感想。

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【ゲーム全体への感想】

周回を繰り返す中で、グノーシアの正体やループにまつわる謎、そしてキャラクターそれぞれの秘密が、少しずつ明かされていく。その過程がとても楽しかった。

そして、キャラクターへの理解が深まるほど、議論での立ち回りもしやすくなっていく。

シナリオを進めることそのものが、ゲーム部分を引き立てる要素として機能しているのは良く出来た構造だと感じた。

物語を読み進める行為と、ゲームとしての攻略が自然に噛み合っている点は、本作ならではの魅力だと思う。

肝心の議論パートも、一般的な人狼ゲームとは違い、スキルの要素が加わることでゲーム性が高まっている。

ループを重ねるごとに経験値が入り、主人公のレベルを上げることができる。

すると使えるスキルが増えたり、能力値の影響で投票や襲撃を受けにくくなっていくのだが、その仕組み自体が、ただの人狼ゲームとは違っていて面白かった。

また、このシステムのおかげで、「ループを繰り返す」ことそのものに意味がある作りになっており、イベントが発生しなかった周回が無意味にならないのが個人的にかなり好印象。

スキルの種類には「反論する」「同意を求める」といった基本的なものから、「雑談をする」や「土下座をする」といった変わり種まで用意されており、それらを獲得する際にはキャラクターとのミニイベントが発生することもあって、スキルを集めること自体も楽しみのひとつだった。

こういった点も、本作ならではの魅力だと改めて思う。

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【シナリオについて】

※以下の内容は、『グノーシア』という作品において、物語の根幹に関わるネタバレを含みます。

本作は、「グノーシア」から「人間」を守るという物語でありながら、その中に登場するのは、いわゆる典型的な人間だけではない。

ステラのような擬知体や、オトメのような知能化された動物、しげみちのように明らかに人間離れした容姿のキャラクターが登場することに、最初はかなり驚かされた。

しかし、彼らには個人としての感情があり、思考がある。

そうした存在は、紛れもなく「人間」と呼べるのではないかと思う。

一方で、人間の敵として描かれるグノーシア、そしてそれを操っている真の黒幕であるグノースは、個としての感情や思考を持たない存在として描かれている。

この対比も、非常によくできていると感じた。

何をもって「人間」であるとするのか。

それは存在の成り立ちや容姿によって決まるものではなく、個としての意志があるかどうかではないか──そんなことを強く考えさせられるシナリオだった。

そして、ゲームを進める中で、さまざまなキャラクターと触れ合い、恐怖を感じたり、心を動かされたり、時には笑ってしまうような場面もあり……

そうした体験の積み重ねによって、どのキャラクターにも少しずつ愛着が湧いていき、最終的には皆の事を大切に想うようになっていた。

誰も消えない、全員が助かる未来が欲しいと、強く願うようになっていたのも、自然な流れだったように思う。

その中でも、特に印象に残っているのが、セツというキャラクターである。

何が何だか分からない状態のまま放り出された世界で、最初に道筋を示してくれたセツ。

秘密を共有しながら共に行動する中で、精神的な支えになっていたと感じる場面も多い。

この物語を最後まで進めることができたのは、セツの存在が大きかったと思う。

なので、最初にノーマルエンドにたどり着いた時には、正直かなりのショックを受けた。

あれほど望んでいた「皆が助かる未来」を得ると同時に、その代償としてセツを失ったのだ。

エンドロールを眺めながらしばらく放心し、「こんなことがあって許されるのか」「もう一度セツに会いたい」と思いながら始めた二周目で、一度見たはずの画面の中に、新しい選択肢が増えているのを見た瞬間、思わず鳥肌が立った。

なんてゲームだと感じた。この瞬間、ゲームの中の主人公とプレイヤーである「私」は、確かにイコールになっていた。

そしてたどり着いた真エンドで、セツが第三の壁を越え、ゲーム内の主人公ではなく画面の向こう側にいる「私」に感謝を告げてくれた瞬間には、思わず感嘆の声が出てしまった。

そうだ、現実世界にいる「私」だからこそ、セツを救うことができたのだ。

けれど同時に、現実世界にいる「私」は、本編でその先が描かれていない以上、苦楽を共にしたあのセツと一緒に居続けることはできない。

そう、「永遠にお別れ」なのだ。

その事実がとても切なく、だからこそ、特別で、大好きだと思える。

そして私がセツを想い続けているように、きっと、ゲームの中のセツもまた、「私」のことを想ってくれている。

そう確信できる物語だった。

そしてこれこそが、この作品がアニメでも漫画でもなく、ゲームという媒体だからこそ表現することができた結末であり、グノーシアという作品がここまで評価されている理由だと強く思う。

プレイヤーである私自身が、作品の一部になるという、とても素晴らしい体験だった。

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【最後に】

改めて思うのは、『グノーシア』は「遊ぶ」という行為そのものが物語になる作品だったということだ。

忘れがたい体験をした、と素直に思う。

また、本作が少人数で制作された作品であると知り、驚かされた。

これほど完成度の高いシナリオと体験が、限られた人数の手によって作られていたことには、ただただ感服するばかりだ。

素晴らしい体験を届けてくれた製作陣の方々に、心から感謝したい。

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2025/12/18 ゆる瀬(墓所)