
実はね
今年は同人イベント参加はお休みして、ゆっくりやりたいことをやろうと考えていた。過去の記録の整理をしつつ、ブログ更新などもこなしたかったからだ。そして北方探検家の歴史関連の研究本なども読みながら、次の同人誌づくりの構想も練りたかったというのもあった。何よりここ数年元気が出ない状態が続いており、体力と気力のセーブをするため趣味であっても活動の分量を減らしたいというのもあった。
参加の決め手はここから
2月は体調を崩し一月丸々潰す羽目になった。なんとか回復出来た3月には、推しの宮本浩次のコンサートに出かけ、熱気と元気とやる気をチャージ出来たその矢先、身近な人が突然亡くなった。重い。重すぎる。チャージ分がこれで帳消し、どころかマイナスになった。そして読み進めていた歴史の研究本も中々にショッキングな内容だったというのもあり、情緒が急乱高下し心底疲弊していた。
そのような中で、文学フリマ札幌の出店募集の情報を目にし、昨年のイベントの様子もちらほら目にしており元々興味はあったため、気晴らしと新しい空気に触れたい想いで申し込んだ。
文学っぽい新刊を作ろう
問題は自分の発行物、文学と胸を張って言えるものが無い。強いて挙げれば昨年末に発行した旅行記1種のみであった。
近年撮影した写真があまり日の目を見ておらず、勿体ないと思い立ちインスタグラムを再登録、毎日1枚ずつアップしつつこれを活用しようと、写真を見返して思い出したエピソードや、連想される過去の記憶を引っ張り出し、近況を交えてエッセイとして記すことにした。この「しずかなインターネット」上で、3篇ほどサンプル的に公開し、7篇を非公開で計10篇を書き上げた。文庫サイズの本に憧れがあったため、写真も載せてそれなりのページ数に仕立て、手直しや校正も施しなんとか形にすることが出来た。

売れ筋の傾向
それにしても、どこの誰だかわからない無名の人間の自伝的エッセイなど誰が読みたいんだよと直前になって我に返り、刷り上がってきた新刊に若干怯えつつの参加となったが、蓋を開けてみればこのエッセイ集が単純に冊数で言えば一番多く手にとっていただけた結果になった。センセーショナルなタイトルも目に止まったのかもしれないが。

当方、そもそも文学フリマは初参加。普段は北海道COMITIAに参加することが多く、さすがに文学系は方向性違いかと思っていた。しかし、興味ある方には大体行き渡ったと思われた、4年前に発行の炭鉱廃墟の本(『北の炭山の骸』)も、残りわずかというのも手伝っただろうがあっという間に完売。旅行の紀行本も手にしていただき、有り難い限りだった。
逆に北ティアでは好評の探索レポ漫画はあまり注目されず、やはり傾向が変わるのだなと妙に関心してしまった。家庭用プリンタと手製本だから付けられる値なのだが、300円(注:イベント価格)という低価格のせいもあるのかもしれない。
文学フリマでは、公式によると低価格帯の本は逆に売れづらいといわれている。
本の需要にも適材適所があるのだろう。参加しないことにはわからないものがある。
会場の雰囲気・来場者の傾向
イベントの雰囲気は、常に人の通りが絶えず終盤まで活気があった印象だった。実際2000名余の来場があり、かなりの盛況だったようだ。弊サークルにはスタートダッシュからしばらく経ってからポツポツとお立ち寄りいただくことが多いので、序盤は呑気に構えていたが、一組立ち止まると次々と足を止めていただけ、そして文章メインの本でもじっくり目を通され、熱心に作品に触れて(比喩)吟味される方が多かったのが印象的だった。例えお買い上げに至らなくとも、作った甲斐があるというもので、これは嬉しいことだった。もちろん、お買い上げされればなおのこと有り難い。
あと、本の内容を尋ねられることも時々あり、プレゼン力を試されているようで中々にスリリングだった(笑)。ご納得、またご満足いただけただろうか。もっと興味を惹かれるような説明スキルを磨かなければなと痛感した次第。
購入側として
途中30分ほど中座して個人的に購入などして回ったが、友人知人への挨拶やお目当ての購入含め満足に見て回るには30分などあっという間に溶けてしまう。

そして、文学系の作品は、本の装丁やデザインにも魅力的なものが多く、上品でセンスが良いものばかりだ。作家本人が手掛けているのか、はたまた外注しているのかはサークルそれぞれだろうが、一つの作品づくりとして興味深い。とりあえずはジャケ買いならぬジャケ読みしてみたいものが多すぎて、そのために見本誌コーナーに入り浸りたかったが、そちらも中々の盛況だったのと、離席しっぱなしの自分のブースも気掛かりだったので程々にして戻った。
折角の文学系イベント、やっぱり文章の本にも浸りたいので、次回は色々と対策を練ろうと思う。職場の休憩時間や出先の空き時間に読める本を常に求めている人間なので、興味は大いにあるのだ。
出店・来場側の利便
コミック系の同人誌イベントでは、パンフレットに掲載するサークルカットが必要だが、文学フリマでは文字書きの方が占めるためにそのようなカットは必要とせず、一般に公開されるWebカタログを出店者が各々編集するというのはなるほどと思わされた(コミケでもWebカタログはあるのだったか)。
そして大抵同人イベントは入場料(パンフ代としてが多い)必須だが、文フリでは来場無料というのも驚いた。出店料はそこそこお高めではあるが。入退場パスとして胸にサテンシールを貼るのは楽でいい。パス的なものを手に持たなくて良いので、途中お手洗いにも行きやすい。高齢者や障害者にも優しいシステムだと思う。どちらが良い悪いではないが、各イベントの参加者層によっても考えられているのかもしれない。
11時〜16時までと、いつも参加している北ティアより1時間長いのも、来場者の行動傾向か、出品作の密度の問題かはたまた単純に会場側との折衝の賜物なのかはわからないが、割とゆったり出来る感じがする。終了時刻までの販売を推奨しているというのも、広く多くの方に見てもらおうという真面目さがあっていいと思う。
出店説明もきめ細やかなのは、文章を扱う文学系のイベントならではか。開催までの期間、メール案内の頻度も多く親切過ぎるほどで有り難い。
反省点
出店側としての反省点は山ほどあり、告知していたお渡しすべきチラシを渡し忘れたり、金額を誤って提示してしまったりなどは凡ミス過ぎて情けないですね。申し訳ございませんでした。
対策としては、チラシは多めに刷って最初から自由にお取りいただく形式にしたり、また梱包やお会計の作業スペースを机上に広めに取ることも必要かもしれない。並べる作品を減らすか、2ブース取るか(これはお一人活動には厳しい)……会計でミスるくらいならいっそ梱包作業を省いた方がエコ的観点でもいいのかもしれません。梱包を要求する方にも出会ったことがありませんしね。
(ただ、これはこちらの都合ですが、以前から在庫している袋などを活用したくてですね……使用する機会がイベント時以外にないというのがまた(そういう理由かよ))。
また、ブース前が混み合っていた際、お隣へのはみ出しを防ぐ目的で誘導しようとジェスチャーしたものの、誤解を与えてしまったかもしれません。弊サークルなど列整理とは無縁のサークルだと構えていたら、近年こういう件が増えてきたので、周りを観察しつつ、角の立たない声がけを考えるべきかもしれないと、気を引き締めてまいります。
総括・今後
文学フリマ初参加の全体的な感想は、参加してよかったと思う。意外に自分の作品でも需要があるというのがわかっただけでも収穫だった。特にエッセイ、旅行系はそれなりにキャッチーなら目を向けてくださり、探索系などは割と大真面目に調査して写真や文章にまとめたものが好意的に見られるのかもしれない。皆様、内容をきちんと確認した上で購入を考える方が多い印象。
その時々の作品の傾向によって、参加するイベントを選んでみるのも一考だと思う。文フリではコミュニケーションを積極的に行うスタンスの方が多く、雰囲気も良かった。気分も上向きになることが出来たと思う。また参加したくなるイベントだった。
弊ブースまでお越し下さった皆様、お話くださったお隣様、スタッフ様、設営の皆様もありがとうございました。