創作活動をする人たちの多くが深夜の方が作業が捗ると言うが、自分も例外ではない。休日一日いっぱい作業が出来る!と張り切っていても、朝から昼間は何故かあまり気乗りしないのである。好天の場合は尚更で、せっかくの日和なら外出しないともったいないと感じるくらいには引きこもり気質ではないらしい。昨今、特に夏場の昼間は室温の上がる日も多いので(我が家にエアコンは設置されていない)、エアコンの効くクルマで出かけ、快適な空調の店内へ避難するという行動を取らざるを得ないというのもあるが……ともかく、明るい時間は創造(想像)力が鈍りがちで、ダラダラとニュースサイトをチェックしたり、作業に無関係な調べ物や推しの情報などを漁りつつ、ネットの海を漂っていることが多い。それでもイベント前などは間に合せるべく動くしかないので、ムチ打ちつつ明るい時間から作業を行うものの、不思議なことに夜になると格段に捗るのはやはり夜型人間の体質なのかもしれない。
とすると、普段の勤務は朝から夕にかけてなのだが、これこそあまり捗らない環境で無理くり仕事をしているのではないかという疑念が湧くが、それはまあ「仕事」だからということで置いておいて、稼ぎを伴わない趣味の創作活動になると、深夜の独特の興奮や酩酊状態(素面であっても)の影響を受けると、不思議となんでも表現出来てしまうように感じるし、実際作業が進む。そしてそんな夜更かしが出来ない日は、眠気と共にとても残念な気分になりつつ床に入る。自分の場合、出勤時間が遅めなので朝は比較的ゆっくり出来る環境のため、普段も割と夜更かししている方だと思うが、健康のためを思えば望ましい生活ではないことは百も承知。と言いたいところなのだが、規則正しい早寝早起きの生活が自分にとって本当に健康的なのかが正直疑わしい。
というのも、一昔前のこと。体重の増加が気になり、ダイエットも兼ね気持ちも入れ替えようと朝は早起きしてウォーキング、食べるものや量にも気を使い、それから出勤するという生活を続けていたのだが、数ヶ月して気分が鬱々とし、ふらつきの症状も出てきたのでそこでストップした。その間は当然ながら、夜も日付が変わる前に眠くなり、夜更かしとは無縁の生活だったのだが、創作活動に関しては眠くなるまでの短時間の戦いとなり、あの深夜の高揚した気分で行うのがほぼ不可能になってしまったことがどうも自分には何もかもが物足りなかったらしい。心身共に健康になるための習慣が「ただの健康的な生活」になってしまい、それをこなすことが目的の本末転倒な状態に陥っていたことに気づいたのだ。単にやり方がなってなかったと言われればそうかもしれないが、そこまで厳密に行う気力は当時の自分にはさすがになかった。
ここまで書くと、深夜の創作活動はまるで薬物のような常習性があるように思えてきたが、夜更かしのない生活はとても人生を損しているような気がしてならない。これも子供の頃、我が家では中学生の頃まではきっちり夜9時に就寝する決まりがあった。では早起き出来て余裕の朝だったかといえば、割とギリギリの時間に登校をしていた方だったので、早寝の習慣も当時の自分にはあまり良い効果がなかったようだ。その反動か、高校に上がってからは何故か突然就寝時間が自由になり、夜更かしバンザイの生活になってしまった。深夜ラジオを聴きながら漫研の原稿を描く生活楽しかったな……(勉強しなさい)。思えばこれが夜更かしが楽しい出発点になっているし、いい年こいてこの頃から感覚が変わっていない。年齢も体質もあの頃とは変わっているのだし、もっと落ち着いて自愛するべきだとは思う。
しかし、これが楽しいと思えているうちは生きる糧になっているような気もして、やめたいようなやめたくないような複雑な気分ではある。