先日、アメリカパスポートを取得したためその記録をひっそりと書こうと思う。日本語でこういう体験を書くひとは少なそうだし、備忘録がわりに。
ぼくはアメリカのテキサス州で生まれた。生後2年で帰国したため記憶はないが、ミドルネームもある。いわゆる日米二重国籍者だ。生まれてこのかたアメリカへ足を踏み入れたことはなかったが、現職でシアトル出張にいく予定ができ、その流れでアメリカパスポートをつくらざるを得なくなった。
なぜアメリカパスポートをつくらないと行けないかというと、二重国籍者はアメリカへの出入国にはアメリカパスポートを、日本への出入国には日本パスポートを使用しなければならないからだ。それにESTAというビザを発行するのにもパスポート発行と同額のお金がかかる。それならばパスポートを発行してしまおうという魂胆。
調べてわかったのだが、実は日本では二重国籍というのは正式には認められていない。日本国籍を選択した場合、外国国籍の放棄「努力」義務があるという曖昧な表現になっている。ただ、現状でアメリカ国籍を放棄するのはいわゆる金券をタダで捨てるようなものだ。なぜならわたしがいまやっているソフトウェアエンジニアというのは、アメリカでの給与水準がとても高いことで有名で、自分はいずれアメリカで働きたいと思っているからだ。その権利を捨てるというのは愚行を、この歳でする気にはなれない。
パスポート取得自体は至って簡単だった。
オンラインのフォームからPaypalで手数料を支払った。180$。
その後に溜池山王にあるアメリカ大使館でパスポート申請をしなければならなかった。予約が必要ということで、頻繁にエラーを起こすとんでもないウェブサイトからなんとか予約を行いアメリカ大使館に向かった。
アメリカ大使館では持ち物検査など厳重にされ、市役所の窓口のようなところで待たされた。ぼくの場合は最後に発行されたパスポートが27年前となかなかの骨董品であったため、本人確認などが厳重にされるのかなと思ったのだが、幸いにもそんなことはなかった。確認自体はものの10分程度で終わり、最後に右手を上げて提出書類に嘘偽りないことを英語で宣誓させられた。
宣誓のあと、SSIN(日本でいうマイナンバー)を発行していない事に関するメールが大使館から届いた。そこでもメールでの返事上で署名をした。メールでの返事がまったくなかったため不安であったが、訪問から5週間ほどで無事にパスポートが家に届いた。
こうしてあっけなくアメリカパスポートが手に入った。いままで面倒くさがっていたが、やってみれば案外すんなり発行できた。