SDEにとってAmazonは激務なのか

yuya
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公開:2024/10/3

きのうハッピーアワーという飲み会が漫画部署であった。L4のインタビューが終わり、PM5時くらいに意気揚々とフィードバックを書いていたら隣の席のUXデザイナーが「あれYuyaハッピーアワーいかないの?」と誘ってくれたので目黒のNoonというフュージョンレストランに赴いた。うちの部署のハッピーアワーは基本的に立食形式のパーティーで、テックの同僚や少ないながらもビジネスサイドの知り合いも数人いたので楽しめた。

そんな中で、FというBIマネージャーが奥さんをレストランに連れてきた。とても綺麗な方で東京は2度目だということだった。Fはぼくのことを「無知なテディベアみたい」とよんでいて、ときどき気にかけてくれていることもありL7のなかではとっつきやすいという印象がある。Fはふだんはニューヨークに住んでいるのだが、いまはプロジェクトの関係で頻繁に東京オフィスにいる。

Fの奥さんはぼくに気を遣っていろいろ話を振ってくれた。その中でも答えに窮したのが

「Amazonは激務?働くのは楽しい?」

という質問だった。即座に「世間で言われているほど激務ではないよ、オフィスには週3日いればいいだけだし色々なことを学べる。楽しいよ。」と返したが、さてこれは本心だったのだろうかと後になって心にモヤが残った。


Amazonは一般的に激務だと言われている。それは匿名掲示板のBlindにおいてSDEのレビューをみてみると即座にわかる。

horrible WLB. horrible for people with family or kids all managers and Sr SDE's are working minimum 12 hours a day, and you are expected to do the same. rude culture here.

Bottom of the barrel compensation, horrible vesting for rsu, 401k. Toxic culture - frugality, pip culture, ungrettable attrition, poor engineering quality, poor wlb (coworkers work late nights / weekends too often). Worst, incompetent managers and management in the industry. Dated, trash infrastructure (pipelines). As SDE, you have to "own" end to end product meaning all crappy devops and testing is big priority for you. Coworkers will try to take credit for work you do. Company with almost the worst reviews on blind for too many reasons. Avoid

時間のことをまず書こう。ぼくは

  • 9時始業(だいたい9時過ぎに起きる)

  • 昼前にスタンドアップミーティング

  • 徒歩でオフィスへ向かう

  • 17時〜19時くらいまで仕事して帰宅

7~8時間くらいをコンスタントに働くような感じになっている。ぼくは独身でとくに平日にイベントもいれないタイプなので、遅くまで働くのはウェルカムなのだがチームのSDEのほとんどは17時になると家に帰ってしまう。ひとりで働いていても面白くもないので、ぼくもみんながいなくなったら帰ってしまうというような生活になっている。

Amazonの特異なところはSDEがサービスを保有するという点だ。すべてのSDEはチームが保有するサービスについて技術的な責任があり、その一環としてオンコールという制度がある。オンコールではチーム保有のAPIが遅くなったりエラーを吐き出したりすると、携帯のアプリから地震速報のような音がなり15分以内にそれの対応をしなければならない。これは昼夜関係なく鳴るものなので、夜中でも必然的に叩き起こされる。

またプロジェクト責任者があなただった場合、それは重圧になりうる。マネージャーはあなたのプロジェクト完了時期をもとに他のチームと交渉をしているし、あなたがプロジェクトをうまく管理できず、技術的にも未熟で、関係者ともうまく折り合いがつけられず、ジュニアなエンジニア(L4~L5)をうまくコーチングできないと、プロジェクトの重圧は増えていくだろう。

しかもAmazonは1日に4時間集中してプロジェクトのためだけにコーディングしてれば良いという環境ではない。ほとんどのSDEは以下を並行して進めていくのが日常になる。

  • メインのソフトウェアプロジェクト - 要件定義、システムデザイン、実装、QA、分析

  • ops系の仕事 - フィーチャーフラグの掃除、QAやPM、他開発チームからのリクエスト対応、技術的負債への対応 - 余談だが放置するとアラートが飛んでくる

  • チームイベント - インタビュー、1:1、オールハンズ、飲み会やランチ、遊びなどのソーシャルイベント

これらを愚直にすべてこなすと、当然だが4時間とかでは終わらない。必然的に「あれ、もう17時?!」ということは頻繁だ。やるべきことが永遠に尽きないので、時間が経つのはあっという間だ。うちのチームのように風通しの良いマネージャーに恵まれた場合はマイクロマネジメントはほぼなく、「大人なんだから自分で考えてよろしくやってね!」という雰囲気になる。あまりにも進捗が悪いと、「詰め」やいわゆるPIPが発生するのかもしれない。(とは言ってもぼくはいちども見たことがない)

ここまで書いて、いまははっきりFの奥さんに対して言えるだろう。Amazonで働くのはジャングルで生き抜くみたいで楽しいよ、と。楽にサボって高給を稼ぐのが目的なのではなく、国内の他の会社では絶対に手に入れられない貴重な経験や機会を得れる面白い会社だよ、と。