1年半ほど前、トリートメントを止めた。洗髪はシャンプーのみだけど、特にコレといって不便はない。
きっかけは、単なる買い忘れである。この手の消耗品を買い忘れる技術については他の追随を許さないわたしなので、まだ少し残っている段階から「トリートメント買う」とメモに残しておいたが、延々と買い忘れ続けた。2週間以上。もしかしたら1ヶ月くらいかけたかもしれない。
とうとうトリートメントも底をついたが、当然ながら替えはなく、その日はヘアオイルだけ塗って寝た。まあ多少のパサつきは出ても、元々激しく乾燥する髪質だから、誤差の範疇だろう、とかなんとか雑に考えて寝た。さしてヘアケアに重点を置いていないのもある。
そしたらどうだ、まったく普段と変わらなかったのだ。トリートメントしていないのに。毛先を中心に揉み込んで、パックして、ベトベト感に辟易としながら洗い流していたトリートメントをしていないのに、全然いつもと変わらないパサパサの髪があった。
あれ、これもしかしてヘアオイルだけで充分だったのでは?
兎にも角にも、トリートメントのベトベトが肌に残るのが嫌で、洗い流すのに時間がかかっていた節もある。あの嫌な思いをしなくていいなら、ラッキーじゃん!くらいの気持ちで、トリートメントを止めた。
ひとまず、シャンプーはオイルやはちみつなんかの配合された、こってりした成分のものにしてみた。さっぱり系のものだと、ヘアオイルで補え切れないと判断したからだ。これは正解で、大きく改善はしなかったけど悪化もしなかった。
トリートメントがなくてもいける、とわかったので、次にブラシを変えてみた。リファなど有名なブランドものも比較検討しつつ、最終的に柘植のブラシに決めた。トリートメントをしない分、椿油で適度に保湿できる点と、歯が欠けたときに修理できる点が決め手になった。自慢じゃないが、握力が弱くてブラシは週一で吹っ飛ばす。疲れていたら、3日に1回は壁や床にぶち当てている。追々歯が折れるのは目に見えていた。
たっけぇ買い物だなぁ、わははと期待半分で導入した柘植のブラシ、これもわたしの髪質にはあっていた。トリートメントを止めた時にはたいして変わらなかった髪が、艶をもつようになったのだ。静電気で膨らむこともなく、アホ毛も減った。櫛一本でこんなに変わるもの?!!?と、心底驚いた記憶がある。
昔から髪の状態がよくなく、膨らむわ乾燥するわ、アホ毛がオーラみたいに頭部を包んでいた。美容師いわく、表面の髪が特に乾燥しやすくて、チリチリした癖毛になるそうだ。ちなみに頭皮寄りの髪は艶っとしていて癖もないらしい。わらう。そのため、コンプレックスが酷くてトリートメントは絶対に欠かせないと思っていた。
しかし、思い込みを捨てたら、ン十年腹に抱えていたコンプレックスが多少はマシになり、こんなに変わるもんだと眼の前が明るくなった。
まあ、ヘアケアに真摯な皆々様にくらべれば、ボサボサがちょっとマシになった程度である。そんでも、綺麗になったよと言われたら、更地だった髪に対する自尊心がちょっとずつ高まって大事にしようと思うようになる。人間結構ちょろいな、と思いながら今日も柘植のブラシに椿油を擦り込んでいる。