短歌31-40

yuzi
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31

飛行機と水と自分の足音と息と衣服の音だけしてる

32

雨粒の一つ一つや 葉脈や原子までをも見させてほしい

33

紫が減衰してる青空は 少し黄ばんでやさしい世界

34

昨日(さくじつ)は雨 山並みのこちらにはグレーのわたが飾られている

35

眼鏡とて完全でない 良き眼(め)なら葉脈までも鮮明だろうか

36

みずみずしく凍る早朝 地面にはイチョウの羽根が張り付けてある

37

再帰的なのだと思う 周辺の色を取り込み青くなるビル

38

知っている 見知らぬ街の自販機に入っているあのジュースの味を

39

私(わたくし)の心だと思わせるものは 痛み の波がもたらす虚像

40

希望とは一度触れたら最後ですもう消えません 病のように